双極性気分障害(躁鬱病)の治療薬に副作用のないCBDカンナビノイドが効く!

この記事では双極性気分障害(躁鬱病)に対するCBDの使用の背後にある科学について調べました。

米国国立精神保健研究所は、アメリカでは生涯の間に約4.4%の成人が双極性気分障害(BPAD)と診断されると推定しています。BPADをもつ成人は精神病患者のなかで機能障害率が最も高く、約82.9%が重度の障害に苦しんでいます。一方、日本ではうつ病の頻度は7%ほどですが、双極性障害の割合は0.7%だと考えられています。

双極性気分障害とその派生疾患は治療が難しく、それが障害率の高さを物語っています。前臨床研究に裏付けられた事例証拠によると、カンナビノイドがエンドカンナビノイドシステムを制御することによって一部の患者においてBPADの症状を改善する可能性があります。

双極性気分障害とは躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患

双極性気分障害とは、気分、意欲、エネルギーに重大な変化を引き起こす精神疾患です。顕著な特徴として、恍惚感(躁病エピソード)の期間とそれに続く絶望期間(抑うつエピソード)を繰り返すプロセスがあります。

双極性気分障害には4つの種類があります。双極性I型、双極性II型、気分循環性障害、双極スペクトラム障害です。どの診断が下されるかは、症状の重度や頻度によって決まります。この中で最も重症なのは双極性I型です。

躁病エピソードの症状とは?

躁病エピソードは、自尊心の肥大、不眠症、制御不能な思考、異常な言動、集中力の欠如、衝動的行動などが特徴です。本当の躁病エピソードは双極性I型障害と診断された者にしか表れません。とはいえ、ほかの種類のBPADの患者も躁病より重度の低い軽躁病を体験します。

躁病はBPADの最高段階と考えられていますが、この症状は破壊的な結果をもたらすことがあります。多くの躁病エピソードが、入院、精神病症状や深刻な障害(例:法的トラブルをもたらす危険行動)という結果を引き起こします。躁病エピソードは治療されないと、精神病に発達することがあります。

うつ病エピソードの症状とは?

うつ病エピソードは、大うつ病として知られる重度のうつ病に似た症状が起こります。症状には悲しみ、空虚感、絶望感、活動への関心の喪失などが含まれます。このほか、睡眠や食事パターンの変化、集中力の低下、罪責感、無力感、自殺念慮や企画などの特徴があります。

双極性障害のうつ病サイクルは、この疾患の低いポイントです。躁状態と同じようにうつ病エピソードは、どのタイプの双極性障害かによってその重度が異なります。双極性I型の患者は、うつ病エピソードと躁病エピソードが両方表れる混合状態を見せることもあります。

従来の治療法は薬物療法と心理療法だが、中には効かない人も

処方薬投与と心理療法の組み合わせによって大半のBPAD患者の症状を緩和することができます。しかし双極性気分障害は治療抵抗性があることがあり、一部の患者は症状の管理がむずかしいことがあります。治療抵抗性BPADでは、最大50%もの患者が生涯のうちに少なくとも一度は自殺を図ると言われており、懸念されています。

BPADに処方される治療薬は抗けいれん薬、抗躁薬、抗うつ薬などです。抗うつ薬単体での使用は、躁病やラピッドサイクルの発症をもたらすことがあります。ほとんどの安定剤や抗けいれん薬は、これらの考えうる副作用を打ち消すために処方されることが多いです。

双極性障害患者における自殺率に対して一貫して有効性を示している唯一の薬はリチウムです。しかし、最近の研究で、エンドカンナビノイド(EC)システムを操作することによってBPADを管理できる可能性があることが示されています。エンドカンナビノイドとはカンナビノイドたんぱく質を受容体と結合させることに関与する神経伝達物質です。

エンドカンナビノイドシステム機能障害とBPADの関係を示す研究

1990年代中頃に発見されたエンドカンナビノイドシステムは2つの受容体CB1とCB2で構成されます。人体にも大麻草にも存在している化合物の一種カンナビノイドは、これらの受容体と結合して脳機能を変化させます。エンドカンナビノイドとは人体でもともと精製されている神経伝達物質であり、植物性カンナビノイドは大麻草に含まれるものです。

エンドカンナビノイドシステムを解説

BPADを含む精神疾患と診断された患者の脳はエンドカンナビノイドシステムに異常が見られたことが、死後研究から分かっています。またマウスの脳切片を用いて行われた同様の研究では、機能不全のCB2受容体がセロトニン放出を抑制したことが示されました。このことは健康的なエンドカンナビノイドシステムが気分をコントロールするのに役立つことを示唆しています。

大うつ病性障害(MDD)の患者83人、BPAD患者134人、健康対照者117人におけるエンドカンナビノイド遺伝子変異の研究は、MDDとBPAD患者における2つの顕著な違いを発見しました。具体的には、精神疾患患者のCB1受容体(CBR1)と脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)遺伝子が対照群と比較して異常であることが分かりました。

植物性カンナビノイドでエンドカンナビノイドシステムを管理すると効果あり!?

エンドカンナビノイド受容体が脳内に分布しているため、その大部分がBPADやその他精神疾患に関連していると考えられるエリアと重複します。CNR1遺伝子に特定の異常がある患者は薬物療法に対する抵抗性があるリスクが高くなり、双極性気分障害の影響を受けやすくなることが研究で分かっています。

これらの患者にとって、植物性カンナビノイドはエンドカンナビノイドシステムを操作し、薬物治療で通常ターゲットとしている化学物質の量を管理する手段を提供するかもしれません。ヘンプや大麻の研究はまだ前臨床段階です。CBDやその他カンナビノイドが双極性気分障害の治療に役立つことを証明するには、さらなる研究が必要です。

体内で作られるアナンダミドと大麻由来のTHCは似たような作用を持つ

至福分子と呼ばれるアナンダミドは体内で自然に生成される物質で、分子構造がTHCと似ています。アナンダミドもTHCもCB1受容体と結合し、記憶・集中力・運動・認識・快感を司る脳部位を変容させます。

FAAH遺伝子はアナンダミド活性化に関係しています。つまり、FAAH遺伝子変異を持つ人は脳内に適切なアナンダミド量を持っていない可能性があります。アナンダミド不足の脳をTHCによって補うことは、化学的バランスの回復に役立つかもしれません。これは論理的には、躁病エピソードとうつ病エピソード間の繰り返しを緩和できる可能性を示しています。

CBDは双極性障害の症状を緩和する可能性がある

CBDはラットにおけるセロトニン再取り込みを阻害することが示されています。これはCBDがマウスにおけるセロトニン放出を阻害することが分かっているCB1受容体の異常を修復することを示唆しています。CBDが人間の脳でも同じように機能するなら、特に治療抵抗性BPAD患者に対して従来の抗うつ薬の代替薬になれる可能性があります。

不安障害やうつ病にCBDオイルを

CBDは精神病に関連する脳部位において異常な脳機能を抑制することがランダム化臨床試験で分かっています。すなわち、CBDはBPADの躁病段階に関連する症状に対して治療効果を持つ可能性があります。もしCBDがうつ症状と躁症状を両方ともコントロールできるなら、リチウムが効かない患者の治療に役立つかもしれません。

その他カンナビノイドはまだ研究が不足している

大麻は500以上の化学物質から成る複雑な植物です。これらのうち100以上の化合物がカンナビノイドであると考えられています。CBDとTHC以外の化学物質がエンドカンナビノイドシステムにおいてどのような反応を生み出すかについて研究した研究は数少ないため、その他カンナビノイドの効果に関する情報は少ないです。

これまでに分離されているカンナビノイドの中でもCBGとCBCVは、うつ病などの気分障害の治療に可能性を示しているようです。今後さらなる研究が行われれば、もっと多くの化学物質が分離され、エンドカンナビノイドシステムに対して持つ影響が明らかにされるでしょう。

双極性気分障害の治療にCBDやその他カンナビノイドを利用すること

CBDはほとんど副作用を持ちません。それでも従来の治療法と大麻派生物を治療に用いることのリスクはあります。BPADの治療におけるもっとも危険な副作用は、症状を悪化させる可能性です。

双極性気分障害の症状を体験している人、または過去にその類の疾患であると診断された人は、治療を始める、または変える前に医療専門家に相談するべきです。現在、治療抵抗性と診断されている場合でも、従来の治療法によって効果があることがあります(心理療法など)。

植物性カンナビノイドによってエンドカンナビノイドシステムをコントロールすることは、治療抵抗性BPAD患者の症状を緩和する方法を提供するかもしれません。前臨床データを立証するためにはさらなる人間に対する臨床研究が必要ですが、BPAD治療法としてのカンナビノイドの未来は有望です。

出典:MinistryOfHemp