大麻草(マリファナ)に品種ってあるの?

では大麻はどのようなものなのか?

大麻草の総称はカンナビノイド(Cannabinoid)と呼ばれている。
大麻草にも種類があり、サティバ種、インディカ種、ルデラリス種、アフガニカ種が存在する。
サティバ種は、繊維、油、薬用を主な用途し、インディカ種は薬用、ルデラリス種は野生のみ、アフガニカ種は薬用のみと品種によって用途が異なっているのが現状だ。
また、大麻草はそれぞれの部位や使用法により、マリファナ、ガンジャー、ハーブ、ウィード、グラス、ハシシュなどと呼ばれ、日本ではマリファナと呼ばれていることが多いようだ。

大麻草には約400種類の化学物質が含まれるとされ、葉や花に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)が主たる幻覚成分である。
他の幻覚作用成分(モルヒネなど)が窒素を含むアルカロイドであるのに対し、テトラヒドロカンナビノール(THC)は窒素を含まずアルカロイドでないところに特徴がある。

大麻草の成分はカンナビノイドなどと呼ばれ、その中でも主成分が4つにある。
カンナビジオール(CBD)、デルタ-8-テトラヒドロカンナビノール(Δ-8-THC)、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-THC)、カンナビノール(CBN)である。
この中の成分で幻覚酩酊作用があるのはデルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-THC)のみである。
つまり、カンナビジオール(CBD)、デルタ-8-テトラヒドロカンナビノール(Δ-8-THC)、カンナビノール(CBN)には幻覚酩酊作用がないということだ。
それ以外のカンナビノイド成分に関しても幻覚作用を引き起こす成分ではないことが証明されている。

前述に述べたように大麻草には生態系の産地や品種があり、薬効成分に違いがある。
この薬効成分は特にテトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)のことを指していることが多い。
本来日本に自生していた大麻はテトラヒドロカンナビノール(THC)の含有量が低いとされてきた。

産業用大麻と工業用大麻の違い

産業用の麻と薬物用の麻は品種が異なり、産業用の麻はテトラヒドロカンナビノール(THC)成分が0.3%未満に品種改良されている。
一部の麻の種子は麻子仁と呼ばれ漢方薬の麻子仁の原材料である。
麻の実は七味唐辛子の材料である「麻の実」「生唐辛子」「炒り唐辛子」「芥子の実」「粉山椒」「黒胡椒」「陳皮」の7つのうちの一つである。

産業用の大麻というのは、テトラヒドロカンナビノール(THC)が0.3%未満の大麻を指し、麻薬用の大麻は、高品質なものでテトラヒドロカンナビノール(THC)が33%とあると言われている。産業用大麻と薬物用大麻のテトラヒドロカンナビノール(THC)は実に100倍以上にも及ぶというわけだ。

幻覚作用成分テトラヒドロカンナビノール(THC)は花穂、葉など株の上部に多く含まれていることがわかっている。
そして、種子に関してはテトラヒドロカンナビノール(THC)に相当するピークが認められず、成分含有は無視できる。
テトラヒドロカンナビノール(THC)濃度が低い場所の代表は麻の実であることから麻の種子はヘンプシードオイルとして利用されている。

近年日本でもヘンプシードオイルはスーパフードとして利用されているのもこれが理由だ。
また、近年注目を集めているCBDオイルは成熟した大麻草の茎から精製されていることにより、日本でも規制の対象外となっている。
成熟した大麻草の茎に含有されているカンナビジオール(CBD)をヘンプシードオイルと混合し、精製しているために世界各国でCBDオイルが使用されているのだ。
医学的な観点からいうとテトラヒドロカンナビノール(THC)成分にも薬効作用が多いとされており、THCとCBDの相互作用があることが証明されている。

国際麻薬統制委員会の見解

国際麻薬統制委員会とは国際社会において薬物関連国際条約の実施を目的とする国際連合であり、統制機構のことを指す。
数年間にわたり、大麻草または大麻草抽出物の医療的な有効性に関する科学的研究が複数の国で行われてきた。
国際麻薬統制委員会は、これまでの報告書に記載されているとおり、大麻草及び大麻草抽出物の医療的な有効性に関する健全な科学的研究が実施されることを歓迎し、その研究結果を利用できる場合には、それらを国際麻薬統制委員会、WTO 及び国際社会と共有するようすべての関係する政府に求めている。
つまり、大麻草成分である各単一カンナビノイド成分の研究をそれぞれの国単位で実施することを歓迎しているのだ。

これによって矛盾が生じてしまっているという現象がある。
薬物関連国際条約において大麻草の医療的観点などの有効性をさまざまな角度から世界規模で研究・開発をすることを推奨するということは、ある意味医療で大麻草が有効であるのではないかと模索している状況下であるにも関わらず、各国その条件を満たす法制度が定まっていないなどの問題点がある。

日本では大麻草に関する成分を研究・開発することが法律として許されていなく、現状では何もすることはできないのだ。
これには政府も頭を抱えているにちがいない。
今までアメリカ主導のもと、大麻草を世界規模で薬物として認定し、国際麻薬統制下で統制を図ってきたのだが、近年この条例が真逆に働いているというわけだ。

歴史の上で国際麻薬統制委員会が大麻草を薬物として認定した際にヨーロッパ諸国は前向きに考えておらず、しぶしぶ応じたと言われている。
しかし、イスラエルの出現により大麻草の成分研究が行われ、科学的な根拠に基づいた文献などが取り上げられ、世界規模で医療大麻が解禁に向かったと考えられている。