筋ジストロフィー:大麻が症状緩和に約立つ3つの方法

大麻は、数え切れないほどの疾患に役立つと考えられています。筋ジストロフィー(MD)ではどうでしょうか?大麻は筋ジストロフィー(MD)に役立つでしょうか?科学界は少し前から、大麻が運動制御や筋肉組織に作用することができることを知っています。人体と相互作用する独自のメカニズムによって、大麻は特に興味深い治療法となります。大麻と筋ジストロフィーに関して特に実施された研究はほぼありませんが、大麻には間違いなく治療可能性があります。大麻が筋ジストロフィーの治療法となりうる理由について説明します。

筋ジストロフィーとは?

筋ジストロフィー(MD)とは、筋繊維が次第に変性し、減退する遺伝性金疾患の総称です。体の随意運動を制御する筋肉が衰弱します。ほとんどの場合、筋ジストロフィーの症状は小児期に始まります。しかし、一部の疾患は成人になってから症状が出ます。一般的なデュシェンヌ型筋ジストロフィーのような一部の筋ジストロフィーのタイプでは、多くの患者が歩行能力を失い、車椅子に頼らなければいけなくなります。

筋ジストロフィーの症状は筋肉変性から生じます。明らかな疾患の兆候は小さく、減退した筋肉です。ディシェンヌ型の場合、太ももや腹部の筋肉が弱くなり、子供がつま先歩きを始めることがあります。筋肉の衰弱は相当の副作用を伴います。

筋ジストロフィー患者は多くの場合、以下のような症状を体験します。

・痛み
・硬直
・頻繁に転ぶ
・起立することが困難
・学習障害
・重症の場合、呼吸補助が必要になることがある

大麻は役立つのか?

人間の筋ジストロフィーと大麻に関する正式な臨床試験は行われていません。しかし、大麻がMDにとって価値のあるものである可能性を示す推論があります。初期の前臨床証拠には、さらに大麻を研究すべき理由が提示されています。

一部のカンナビノイドが関係している可能性があります。1977年、研究者は実験マウスに主な3つの大麻成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)を投与して治療しました。体重1kgあたり1mgの割合で連続30日間、毎日投与されました。またマウスは有機樹脂でも治療されました。

実験マウスは、連続した大麻成分の投与が筋肉を弱めるか見るために治療されました。3つのカンナビノイドのうち、THCは強力な抗けいれんおよびリラックス反応を誘発しました。CBDと大麻樹脂も緊張を緩和しました。CBNは唯一、収縮を改善したカンナビノイドでした。CBN量は大麻が成長するにつれ、特に保存、乾燥後に高くなります。

しかし全てのサンプルにおいてカンナビノイド治療後に筋タンパク量が低下しました。筋ジストロフィーは、筋タンパクを合成する遺伝子の編成によって引き起こされます。したがって、このマウス研究からは筋ジストロフィーにおけるカンナビノイドが果たす役割についていくつかの疑問が生じます。

研究グループが同年に発表した別の研究は、継続したTHCの投与は健康的な大人のマウスにおける筋緊張に対して抑制効果があることを明確に示しました。しかし、大麻治療に関する関心のほとんどは関連する疾患の研究から生じています。

大麻とALS

筋萎縮性側索硬化症(ALS)はルー・ゲーリック病としても知られています。ALSと筋ジストロフィーは全く異なる疾患です。ALSは散発的に発症しますが、筋ジストロフィーは完全に遺伝性です。ALSにおいては、筋肉の動きを制御するニューロンが死に始めることが、急速な進行と致死性疾患の一因となります。

ALSでは筋肉が死に始め、次第に弱くなっていきます。アメリカン・ジャーナル・オブ・ホスピス・アンド・パリエーティブ・メディシン誌に発表された2010年の研究は、大麻が強力な抗炎症、抗酸化、神経保護特性を持つことを示す証拠を提示しました。

また研究では、 ALSの身体症状の一部を緩和する可能性がある特性を大麻が持つことが明確に示されました。この身体症状は筋ジストロフィーにも非常によく似た症状です。

研究では、以下の分野で大麻はALS患者の役に立つことが示されています。

・鎮痛
・気管支拡張
・筋弛緩
・食欲誘導
・睡眠改善
・唾液の減少

研究著者らは、ALSに関する大麻の臨床試験が「次なる論理的なステップ」だとまで主張しました。

症状管理

2010年の研究が示す通り、大麻は苦痛を伴う困難な筋肉衰弱症状の管理に対する潜在的な候補です。幸いなことに、さらなる臨床試験や前臨床証拠がこの理論に付加的価値を与えています。

大麻が筋ジストロフィーの症状緩和に役立つ可能性がある3つの方法を以下に紹介します。

1. 鎮痛

慢性痛は、患者が医療大麻を求める一般的な理由のひとつです。大麻は化学療法に伴う癌の痛み、神経障害痛、炎症性痛を含むさまざまな異なる痛みにおいて有効だと考えられています。似たような筋疾患の患者の多くが疼痛管理のために大麻を頼っています。

例えば多発性硬化症患者のランダム化比較試験では、大麻スプレーが中枢神経障害痛に対して有効であることが分かりました。試験には66名の患者が参加し、大麻治療後に疼痛スコアの低下や睡眠改善を報告しました。

患者はTHCとCBDを全く同じ割合で含む大麻抽出物を含有する口腔粘膜スプレーを与えられました。各スプレーにはTHCが2.7mg、CBDが2.5mg含まれていました。患者は1日最大48回スプレーを使用することができました。

2013年に発表された別のランダム化プラセボ比較研究では、蒸気化した低用量大麻がほとんどの被験者において神経障害痛を低下させたことが分かりました。

2.筋緊張&けいれん

けいれんに対する大麻系医薬品は現在、複数の国で販売されています。しかし残念ながら、これらの薬は多発性硬化症向けで筋ジストロフィー向けではありません。これらの疾患は全く異なりますが、多くのMD患者はけいれんと緊張に関する大規模な大麻の人体治験が実施されたことに関心を持つかもしれません。

2011年にヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ニューロロジー誌に発表された研究では、572名の患者に対する ランダム化二重盲検プラセボ比較試験で大麻系薬品サティベックスを検査しました。全ての被験者が多発性硬化症患者で、難治性けいれんに苦しんでいました。サティベックスはTHCとCBDを1対1の割合で含む多発性硬化症薬です。

サティベックスはけいれん管理においてプラセボよりも大幅に優れた作用を示したことが試験の結果、分かりました。カリフォルニア大が行った2012年の研究では、大麻の喫煙が多発性硬化症患者の収縮やこわばり、痛みを緩和させることができることが分かりました。この研究はカナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル誌に発表されました。

研究者は、大麻が筋緊張評価スケールにおいてけいれん測定を1/3減少させたことを発見しました。筋緊張評価スケールとは、全体的な筋肉の可動性を評価するのに一般的に用いられている方法です。疼痛スコアは40%改善されました。

CBDとTHCが入っているサティベックスってどんな薬?

MSとMDは2つの異なる疾患ですが、大麻による筋肉鎮静効果は筋ジストロフィーに関連する症状管理に有益である可能性があります。

3.生活の質(QOL)

医療大麻には多くの個人的な利益があります。大麻は、笑顔や笑いを誘発する他、ストレス軽減や気分改善などが有名です。筋肉痛や関節痛で眠れない患者は大麻による鎮静特性を高く評価するでしょう。

大麻は、使用者の深い睡眠時間を延長させることが知られています。これは睡眠サイクルの改善ステージです。

2014年の患者調査のレビューでは、大麻は慢性痛患者において非常に有益である可能性が分かりました。患者は、大麻が不眠や不安の緩和に有益だったと報告しています。この3つの症状は患者の生活の質を大幅に下げる症状です。

睡眠不足は朝の硬直やその他疼痛レベルを増加させることがあるのは言うまでもありません。

筋ジストロフィーのための大麻株

残念ながら、筋ジストロフィーに関する大麻の人体研究が欠如しているため、どのタイプの大麻が患者にとって最も有益か評価するのは困難です。しかし、自己実験や医師の勧告に従うことに関心のある患者は、大麻の精神活性品種や非精神活性品種から選ぶことができます。

大麻の非精神活性品種はカンナビジオール(CBD)が豊富で、テトラヒドロカンナビノール(THC)をわずかしか含みません。THCは大麻草の主な精神活性成分です。

以下の大麻株が筋ジストロフィー患者に役立つ可能性があります。

・ オグレ
・ロムラン
・キャシージョーンズ
・サワーツナミ(高濃度CBD)
・ACDC(高濃度CBD)

医療大麻に関心のある方は医師に相談することをお勧めします。大麻は筋ジストロフィーの症状緩和に役立つ可能性がありますが、その有効性を決定するにはさらなる研究が必要です。