解禁が進む世界の医療大麻状況

去年アメリカの大統領選が注目が集まっていたが、それと同時に各州、フロリダ州、ノースダコタ州、モンタナ州、アーカンソー州の四つの州で大麻の医療目的を是非を問う住民投票が行われていたのはご存知だろうか。

そして、カルフォルニア州、マサセチューセッツ州、メーン州、アリゾナ州、ネバタ州の5州では、嗜好品の大麻の所持と使用について住民投票も行われていた。その結果はというと、アリゾナ州以外の州で賛成票が上回り、すでに合法な州と合わせて、全米で28の州とワシントンDCで医療大麻が合法化される形になった。これによりアメリカでは、首都に加えて過半数の州で医療で大麻を使用することが認めらることになった。

ここで疑問に思う方もいるかもしれないが、アメリカ連邦政府は大麻の使用を未だに禁じているということだ。アメリカ連邦法では、大麻は依存性が強く、医療用としても利用価値のない物質という分類に指定されているが、現状の結果によって大きな矛盾が生じており、連邦法の見直しがされる動きがある。現在、アメリカ連邦政府は各州の州法を尊厳しているため、住民投票で賛成されれば州単位の使用が許可されるというのが現状です。

アメリカにおける医療大麻合法化に動きが始まった時期

20世紀後半のカルフォルニア州から始まったのだが、その動きは全米規模に影響を及ぼしている。すでに合法化された州では、大麻に関するビジネスが急速に成長し、ワシントン州では2014年以降の関連税収が日本円で1000億円を超え、コロラド州では2015年の大麻関連売上が1000億円近くに達し、税収は120億円を超えたのである。

ちなみにカルフォルニア州が医療大麻を解禁した州知事といえば日本でもおなじみのシュワルツェネッガー知事である。ターミネーターシリーズで一世を風靡した人物が医療大麻解禁を実行した先駆者であることをご存じだろうか。多くの起業家がアメリカの大麻ビジネスに参入している中で、最も興味深いのは2016年6月にマイクロソフトも大麻ビジネスに関連するソフトウェア会社との提携を発表している。現在のアメリカにおける医療大麻に関する状況は、民間の動きに対して法律が追い付けないほどにまで膨らみ続けており、改革が実行されている。

他の諸外国における医療大麻事情

ヨーロッパの先進国はアメリカより遥かに早い時期に医療で大麻を使用することに有効性を見出していたのである。従って国規模での大麻解禁に取り組んでいる様子がわかる。ドイツは今年に合法化されることが既に決まっている。EU各国によってルールは異なるが、イギリス、スペイン、オーストリア、ベルギー、フィンランドでも医療大麻は合法である。イスラエルは医療大麻における重要な国であり、最先端の研究を行っていて世界をリードしている。カナダも既に合法化がされており、オーストラリアでも2017年に合法化に向けての準備が着々と進められている。

世界で巻き起こる医療大麻の効果や副作用とは一体どういうものなのか?

昨年、日本に来日した南米ウルグアイのムヒカ大統領も、就任当時の2013年に大麻を全面合法化を行っている。2015年に最高裁が自家栽培と使用を認めたメキシコでも、2016年にエンリケ同等量が医療大麻の合法化を提言している。ブラジル、アルゼンチン、コロンビアなどの南米各国も次々と法改正を進めている。

大麻に関する法規制が厳しいアジア諸国の中でフィリピンのみが医療大麻を合法化している。去年、過激な発言で知られたフィリピンのドゥテルテ大統領は医療大麻については理解を示している。麻薬使用者を3000人処刑するなど麻薬政策で最も厳しいとされているフィリピンで合法化されているのはなんとも驚きだ。タイなども世論調査では8割以上の国民が医療大麻を解禁するべきであるとしている。

ではアジア最大の中国はというと、大麻自体は厳しく制限しているが、産業用の製造化と医療用の研究開発が大規模で行われており、世界知的所有権機構(WIPO)の統計データによると、約600件ある大麻関連の特許申請の半数以上が中国企業によるものである。

アメリカだけにスポットが当たりがちだが、世界各国で医療で大麻を使用することの有効性について問題定義がされているわけだ。また、問題定義される上で一番重要なことは科学的な根拠となるデータ・臨床実験をベースに議論する必要がある。ここが他国と日本の大きな現状である。

世界で巻き起こる医療大麻の効果や副作用とは一体どういうものなのか?

嗜好品大麻を解禁しているオランダの現状

嗜好品大麻に関して世界で最も寛容的なのはオランダだ。1976年の寛容政策は、オランダアヘン法に従った一定の量の販売と所持が許可されているソフトドラッグの大麻を含む製品を、個人使用のために販売する小売店のことである。この寛容政策でコーヒーショップという文化ができあがり、政府から許可を得ている場合のみコーヒーショップで大麻をお客に販売し、購入したお客はコーヒーショップなどで大麻を喫煙することができる。

薬物の中でも安全とされている大麻を解禁することにより、ハードドラッグ使用者を削減する目的とマフィアなどへの資金流出に歯止めをかけた法律こそが寛容政策と理解している。世界でも異国と言われる所以であったが、世界的に医療大麻が合法化されれば、国際条約の裏付けのもとで、医療大麻を海外に輸出するビジネスが成り立つことだろう。

しかし、大麻を使用すると、依存症が高い、暴力的になる、健康被害が高いなどなどのイメージが湧いてくる。そのオランダの経済状況は、2014年のオランダのGDPは約8807億ドルである。世界17位の経済規模であり、EU加盟国では6位である。また、同年の一人当たりのGDPは52,225ドルであり、世界的にも上位に位置するのだ。

いや、イメージと全然違う感じがする。どう説明するのかいささか迷うが、大麻は常に人体に最も影響がある薬物として取り上げられるのだが、それは大麻に限ったことではないということだ。代表的なものがアルコールだ。

アルコールを飲んでアルコール依存性になる人もいれば、酒乱になって暴力的になる人、飲酒運転で他人の命を奪うことなどがある。タバコも喫煙することによる健康被害はご存知の通り深刻である。身近なお菓子も毎日ポテトチップスを10袋食べたら多大な健康被害が及ぶわけである。医療大麻を軽視しているわけでもなく、嗜好品大麻に賛成するわけでもなく、疾患などで苦しんている方々の特効薬や有効利用になるのであれば大麻について研究をするなどの適切な処置が必要になってくるのではないだろうか。