大麻と痛み パ-ト1:大麻はどのようにさまざまな痛みを軽減するか

大麻は痛みを軽減すると知られていますが、痛みはさまざまな理由により生じるので、適した大麻を選ぶことは大変です。どのカンナビノイド(例えば、THCやCBD)が異なった痛みを治療することが分かっていることは、次回あなたが大麻薬局に行く時に役立つ情報です。

異なったタイプの痛みは大まかに3つに分類されます。

*侵害受容性疼痛
*神経性疼痛
*中枢性疼痛(このタイプに対するしっかりと決まった名前はありません。線維筋痛症は一般的な例です)

それぞれの痛みは異なった発端があるために、それぞれ最適な治療方法があります。

痛みは脳細胞の同時活性化により生じます。これらの脳局部は痛みの感覚をもたらすと同時に、痛みの信号の強さを調節することができます。いくつかの事例においては、痛みの感覚を感じることなく肉体的な怪我(すなわち、侵害受容性疼痛です)をすることがあります。事故直後の瞬間に痛みを感じることなく歩き回っている交通事故の被害者を想像して下さい。

しかし、反対のことも起こり得ます。それは、肉体的怪我がないのに痛みを感じることです。すなわち神経性疼痛です。このことは、気分、状況、怪我に気付いているかと言う要因が痛みの感覚において役割を果たす重要性を際立たせています。そして、そのことは最適な大麻系治療戦略を与えることにも使えます。

大麻と侵害受容性疼痛

侵害受容性疼痛(すなわち炎症性疼痛)は、組織損傷に起因します。肉体的怪我をした後のするどく、うずく、ずきずきとする痛みと言われています。怪我をした時に、損傷した細胞は損傷を修復するために非常に多くの炎症および免疫細胞を集めます。これらの細胞は、脊髄と脳に至るまで中に入り込む神経の受容体を活性化するタンパク質と化学物質を放出し、痛みの感覚を引き起こします。

耐性リスクを減らすと同時に、鎮痛効果を保つためには、THCとCBDがバランス良く配合されている製品を疼痛の長期間に渡る治療に検討するべき

侵害受容性疼痛は、炎症過程自体や炎症が引き起こしている信号を遮断する事により、外傷部の疼痛信号を減らし、弱められることがあり得ます。他の方法は、脊髄と脳内に入り込む疼痛信号の影響を減退させることです。大麻はこれらの両方の痛みを軽減する方法を標的にすることができます。

THCとCBDと言った豊富に含まれるカンナビノイドは、外傷部の痛みを軽減できます。両方とも良く効く抗炎症作用を持っています。THCの抗炎症特性は、怪我に対する痛みを引き起こす反応を減退させる免疫細胞にみられるCB2受容体活性化を通じて主に活動をします。CBDは、炎症性媒介物の阻害と大食細胞の作用を炎症促進性から抗炎症性に変えることによって更に炎症を軽減します。まさに、侵害受容性疼痛を軽減するTHCとCBDの利点はマウスの炎症と人体臨床治験によって十分に立証されています。

THCは、直接的なCB1受容体の活性化および間接的なオピオイド受容体活性化の増進によって脊髄や脳内レベルの痛みを調節できます。(このことはパート2で詳しく説明します)CBDは、CB1受容体を活性化するTHCと似たような作用をする内因性カンナビノイドのアナンダミドを増やす事によって痛みの過程に似たような影響を与えます。

CBDは、 内因性カンナビノイドシステム(ECS)の他にも痛みを軽減できる多くの標的を持っています。特に重要なことに、CBDは、脳内の主の抑制性神経伝達物質GABAのための受容体の作用を高めます。この抑制効果を通じて、CBDは脳内に入り込む時の疼痛信号を阻害することができます。

気分が良い時は、痛みを感じることにあまり焦点を当てません。前向きな気分は、悩ますことから注意をそらすだけでなく、脳内に入り込む疼痛信号を直接減らすこともできます。それは気力の現象であり、痛みに関しては少なくとも初期の段階においてはとても効果を発揮します。

時間と共に、大麻使用に関連する肯定的な感情を感じることはさらに難しくなり、大麻の鎮痛効果は弱められています。これは、THCによるCB1受容体活性化に対する耐性の結果であり、CBDによって軽減することができます。結果的に耐性リスクを減らすと同時に、痛み軽減の効果を保つためには、THCとCBDがバランス良く配合されている製品を疼痛の長期的な治療に検討するべきです。

CBDは、不安やストレスを軽減する効果を持つセロトニン受容体を活性することにより、気分をより良くします。落ち込みと不安は慢性痛の人々においては一般的ですので、CBDの気分を良くする効果は痛みの治療において有益な付加になります。

大麻と神経因性疼痛

神経因性疼痛は、侵害受容性疼痛とは異なり、体の神経系への損傷により痛みが生じます。とてもありふれています。人口の7~10%の人々は神経因性疼痛持ちであり、大きな力が加わった怪我、挟んだり、刺したりして神経を破損することによって生じます。病気も、神経因性疼痛のよくある原因です。例えば、多発性硬化症においては、神経細胞の絶縁が正常に機能しなくなり、神経因性疼痛に繋がります。神経因性疼痛を引き起こす他の病気を2,3挙げると、パ-キソン病、HIV、糖尿病、帯状疱疹を含みます。体の多くのタイプの細胞を破壊する影響から化学療法も神経因性疼痛の一般的な原因です。侵害受容性疼痛と同様に、THCによるCB1受容体の活性化は、いずれは効果を弱めます。よって、THCとCBDのバランスが取れた大麻が、長期間において効果のある治療になるでしょう。

神経因性疼痛は、イブプロフェンのような非ステロイド抗炎症性薬によって治療ができる炎症に起因するのでないので、治療が難しいと悪名高いです。しかしながら、神経因性疼痛が病気、切断や化学療法のどれが原因であっても、多くの人々が慢性神経因性疼痛の治療として大麻に頼っています。大麻は、有望な治療の選択肢になりえる事が分かっており、その効能は、癌および癌と関係しない神経因性疼痛の両方においてマウスと人体臨床治験において観察されています。

CBDが豊富な大麻は、セロトニン受容体の活性化を通じて、化学療法によって誘発された痛みの発生を防ぎます。重要なことに、CBDは、癌を攻撃する化学療法の薬の効果を損なう事なく、防御的であり、化学療法治療患者にとって希望の持てる予防薬になる可能性があります。

坐骨神経痛は、坐骨神経の圧迫感によって腰と足に掛けての痛みを引き起こす非化学療法のタイプの痛みの例です。坐骨神経痛においては、CB1受容体の増加があり、活性化される時に痛みが軽減します。化学療法と非化学療法由来の神経因性疼痛の両方におけるCB1受容体活性化による共通の効能は、大麻が脊髄における疼痛信号の強度ならびに脳内の疼痛信号の処理を弱める事により神経因性疼痛を軽減できることを示しています。 侵害受容性疼痛と同様に、THCによるCB1受容体の過剰な活性化は効果を弱めます。よって、THCとCBDのバランスが取れた大麻が、長期間において効果のある治療になるでしょう。

大麻と中枢性疼痛

中枢性疼痛は、神経系の機能障害により起こる疼痛タイプに関する包括的な用語として最近表れてきました。中枢性疼痛は時々怪我により生じますが、しばしば分かっている原因がなくても発生します。結果として、特に治療が難しいです。線維筋痛症は疼痛信号が脳内に入り込み、処理される過程における機能障害により起こる中枢性疼痛の典型的な例です。他の中枢性疼痛のように、線維筋痛症の起因は大部分分かっていません。

中枢性疼痛の多様性のために、この痛みの分野における大麻の効能について調べている研究は数件だけです。しかしながら、中枢性疼痛の治療においての大麻の定評のある効能は線維筋痛症に対してです。26人の線維筋痛症患者による研究では、全ての人が大麻使用の効能を報告し、半分の人は他の治療薬を止めました。この結果は、線維筋痛症患者と恐らく原因不明の他の中枢性疼痛症状の患者にとって、大麻はとても必要とされている鎮痛効果もたらすことができます。

研究の要点

大麻は副作用の少ない効果的な疼痛治療薬であることを論証する研究が増えています。 しかしながら、大麻の鎮痛効果の弱い証拠を主張するだけの報告もまだあります。これらの否定的な影響は、逆の副作用を誘発し、耐性の発達とともに効果を弱める事で知られているTHCを多く含み、CBDが少ない大麻品種に由来します。
THCを多く含む製品は、初めのうちは鎮痛に効果的ですが、最適の鎮痛方法を意味するわけではありません。代わりに、慢性痛症状にとってより良い長期的な治療法として、THCとCBDがバランス良く配分されている製品又はCBDを多く含む製品を検討して下さい。

出典:leafly