カナダの大麻に関する次のステップと国連薬物条約

カナダが法案C-45を導入して以来、国連の薬物規制条約に対するカナダの立ち位置を懸念する疑問が渦巻いてきました。 カナダも加盟しているこの薬物規制条約は、大麻の嗜好的使用のための統制市場の創造を厳しく禁止しています。

過去数ヶ月にわたり、カナダの国内大麻政策と国際条約の間にある切迫した不一致をどのように対処するのが最適か討論や議論が行われたなかで、さまざまな選択肢が提案され、さまざまな場所から例が求められました。さらに物議を醸した極端な例では、国際条約に敬意を示すために、オタワ州が大麻を合法化する前に条約から離脱するべきだ、という意見もありました。離脱プロセスの期限に関する国連規則をめぐる混乱がかなりあったことを受けて、C-45の施行を遅らせることさえ提案されました。現在は違法とされる大麻市場に関連する害を軽減することを目的としたアプローチとともに進む必要があった民主主義の機能と懇願を留意しながらも、法の施行を遅らせたならそれは残念なことだったでしょう。

外務国際貿易に関する上院委員会が企画した3月21日の公聴会では、国際関係のマーク・グヴォズデツキーが素晴らしいスピーチを行い、この状況に光を投じました。国際安全保障・国務省の副大臣であるグヴォズデツキーは、
次のように述べました。「大麻に対するカナダの提案されるアプローチは、国連薬物条約のもと大麻に関連する特定の規制にカナダが違反するという結果をもたらすでしょう」

これほど率直で事実に基づくスタンスは、部分的な違反という現実の否定または大麻の統制市場を調整するために曖昧な法的主張の裏に隠れることよりもずっと望ましいものです。このような否定的なアプローチは、国連条約に基づく薬物規制計画の統合性に対してほぼ役に立たず、国際条約に対する敬意を弱体化させ、さらに広い意味でいえば持続不可能です。

さらに、薬物条約は柔軟性のない基準であるべきではなく、むしろ各国の国内事情や優先事項に従って進化すべきであり、また「枠組みからの離脱は過度で不必要な反応であり、カナダおよび国際社会の利益に害を及ぼすであろう」と話したグヴォズデツキーには賛同せざるをえません。

数々の政府や国連機関役員、法学者が参加したカナダにおける本問題に関する非公式会談に基づき、私たちはこの点に関するカナダの立ち位置が海外から大きな関心を集めていること、また複数の国が国際協定の大麻に関する新たな姿勢を調整する最適な方法をカナダとともに模索することに熱心であることを確信しています。例えば今月初めにウィーンで開催された国連麻薬委員会では、ジャマイカがその姿勢に関して次のように述べました。「現在の国際薬物規制機構は、変わりゆく国内の現実に合った適切な政策を設計するために必要な政策空間を考慮していません」

トルドー政権が一つの問題を改名すると、また別の問題が明確になります。カナダはどうすれば、一時的な期間として意図されたように見える実質的な大麻に関する国際条約の違反から、国レベルで十分な政策空間を許容しながらも国際義務に完全に準拠した長期的な合意へと移行できるのでしょうか?

一つの模索可能な手段は、秘密の改正と呼ばれるメカニズムです。最新レポートでお伝えしているように、このアプローチは、同じ考えを持つ州のグループが彼らの間で新しい条約を作成することによって大麻に関する国連条約に対する関係を修正することを可能にするでしょう。このようなアプローチは確固たる法的根拠を超えて、異なる規制モデルから学び、見せ掛けの総意によって特徴付けられる国際的な政策環境内でますます必要とされるものの発展を促進する機会を提供します。すなわち、国際法規内で機能する「マルチスピード薬物管理システム」です。

秘密の改正が国際法において、特に、特定の条約義務を(強化するのではなく)減損する手順として比較的一般的でないことは事実です。しかし現在の国連薬物規制条約が置かれている環境は、条約改正のための秘密の改正の正当性を慎重に考慮することに値します。

数々の国が管理的選択肢を実施または考慮するなか、またWHOの薬物依存に関する専門委員会(ECDD)が薬物条約による大麻の分類を見直し始め、重要な会議を今年6月に行う予定のなかで、大麻に関する国際政策は明らかに変動的状態にあります。このような関係の中で、異なる一方的な条件および疑わしい再解釈の増加による混沌とした状況と比較して、協調的な集団応答の方が役立つのは明らかです。カナダは大麻ならびに国連薬物条約に関する関係を選ぶまでにまだ時間があり、内々の選択肢を模索するのが賢明でしょう。

参照:iPolitics