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医療大麻秘められた力 PART2

      2016/01/19

以前ご紹介した「ナショナル・ジオグラフィック」誌が難病の我が子にCBDオイルを投与するドキュメンター動画の夫妻をもう一組紹介させていただきます。マリファナの成分の一種カンナビジオール(CBD)を使用した医療品のCBDオイルが、癌やてんかんなどの難病を患う子供たちにもたらす効果を探ろうしています。

2013年5月、アデリン・パトリックが生後6か月の時だった。乳児けいれんと判断された。発作は驚いたときの反射的な反応のように見えた。腕を体の横でピンと突っ張り、表情は仮面のように凍りつき、眼球がせわしなく左右に動く。アデリンの小さな脳内では、まるで電磁的な嵐が起きたように、さまざまな部位がランダムに興奮していた。これほど恐ろしい悪夢があるでしょうかと母親のメーガンは語る。我が子が苦しんで、怯えているのに、どうしてやることもできないのですから。
メーガンと夫のケンは専門家の診断を受けるため、自宅があるメーン州の小さな町からマサチューセッツ州ボストンの病院にアデリンを連れて行った。裂脳症と呼ばれる、先天的な脳の形状異常によるてんかん性の発作だと診断された。アデリンの脳は母親の胎内で十分には発達せず、片側の半球に異常な裂け目ができていた。さらに、それと関連した視神経の形成不全もあった。眼球がせわしなく動くのはそのためで、視力がほとんどないことも分かった。夏になる頃には、アデリンは1日に20回~30回も発作を起こすようになり、さらに100回、300回と回数は増え続けた。パトリック夫妻の不安は募る一方だった。このままでは娘が死んでしまうと思いました。夫妻は医師の指示に従って、アデリンの大量の抗てんかん薬を与えた。強力な薬の作用で発作は減ったが、アデリンはほぼ1日中眠ったままになった。アデリンは9ヶ月の間に20回も入院した。夫の親族から医療用大麻(CBDオイル)を勧められた時、メーガンは耳を疑った。「連邦政府が禁止している薬物ですからね」だが調べてみるとCBDを多く含む品種に発作を抑える強力な効果があるとことを示す事例は数多くあった。
2013年9月、パトリック夫妻はボストンにあるマサチューセッツ総合病院を訪ね、CBDの研究に携わる小児神経科医エリザベス・シールに会った。法的には、シールは大麻を処方することも、大麻の使用を助言することもできなかったが、アデリンの治療ではあらゆる選択肢を検討するよう、夫妻に強く勧めた。これに勇気づけられたメーガンは、コロラド州へ向かった。そこで小児てんかんの子供の治療に「シャーロット・ウェブ」という品種の大麻から抽出したCBDオイルを用いている親たちに会った。THCの含有量が少なく、CBDを多く含むこの大麻オイルは、コロラドスプリングス郊外で製造されている。
メーガンはコロラド州で目にしたことに感銘を受けた大麻の栽培業者たちの豊富な知識や、同じ悩みを持つ親たちのつながり、大麻を売る薬局の質の高さ、大麻オイルの品質を一定に保つための検査体制。コロラド州スプリングスは医療のために移住する人々の聖地となり、全米各地から重い病気に苦しむ子どもを持つ100世帯余りの家族が移り住んできていた。その多くはNPOレルム・オブ・ケアリングの支援を受けている。彼らは自分たちを医療難民と呼ぶ。もともと住んでいた州で子どもに医療用の大麻を与えたら違法取引で逮捕されるか、児童虐待の罪に問われる恐れがあり、やむなくコロラド州に引っ越してきた人たちがほとんどだった。
メーガンは、CBDを多く含むCBDオイルを娘に試してみた。発作はすっかり収まり、これまで使っていた薬を一部減らすことに成功した。そして、アデリンは目覚めている時間が多くなった。大した変化ではないと思われるでしょうが、何ヶ月ぶりに娘がほほ笑むのを見た瞬間、全てが報われた気がしました。夫妻は大麻オイルを使った治療を続けるためにコロラド州に引っ越す決意をした。親なら当然ですとメーガンは話す。娘が助かる薬が火星で製造されていると聞けば、私たちはすぐさま庭に宇宙船を組み立てるでしょう。
2014年末に私が訪れた頃には、一度も入院していない。アデリンは元気いっぱいだった。CBDオイルを使うようになってから、一度も入院していない。発作は時々起こるが、以前ほどの症状は重くない。眼球が激しく動くことも減り、人の声や物音にもよく耳を傾ける。笑い声を上げ、母親たちに抱きつくようになった。自分が声を出すと周囲の人が反応する子とも学習した。
レルム・オブ・ケアリングに所属する親たちは、我が子を実験台にしていると批判されることもある。医療用大麻の研究は不十分で、多くの改善例は偽薬効果、つまり思い込みに過ぎないというのだ。
CBDオイルを長く使用した場合の副作用はわかっていませんし、研究が必要なことは確かです。と、メーガンは言う。でもこれだけは言えます。CBDオイルがなければ、私の娘は人間らしさを取り戻せなかったでしょう。幼い子どもに処方されていた抗てんかん薬も長期の使用による副作用が懸念されているが、なぜかそれは問題にされないと、彼女は指摘する。医療保険が効くということで処方されましたが、強い依存性があるし、強力な毒性もあります。患者を廃人のようにさえ、死に至らしめることもある薬です。それなのに、法的には全く問題ないという扱いです。
シール医師によると、CBDオイルの初期段階の臨床実験では、非常に期待が持てる結果が出ているという。
CBDオイルは万能薬ではありません。誰にでも効くわけではないのですが、それでも初期段階データは目を見張るようなものでした。
多くの患者にとって、とても効果的な治療薬になる可能性があります。治験に参加した子供の中には発作を1年以上起こしていない子が何人もいます。
パトリック一家はコロラド州に落ち着いて、幸せな日々を送っている。娘を取り戻すことができました。とメーガンは笑顔を見せる。この経験がなければ医療用大麻の有効性を信じなかったでしょう。大麻が奇跡の治療薬だとは思いませんが、治療の選択肢の一つとして、全米の全ての神経科医が使えるようになって欲しいと心から願っています。

出典 : ナショナルジオグラッフィック

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