マリファナの安全性

がんやエイズ

がんの化学療法にともなる疾患の治療や、食欲減退やエイズの消耗症候群を抑えるために使用については、マリファナの香料について厳密な科学的根拠がある。ただしこのほかに、大麻の潜在的な有用性を裏付ける科学的根拠が存在する分野として、いくつかの病状、とりわけ痛みのある筋痙攣にともなう病状があげられる。またそのほかの形態の治療不能な臨床的な痛みも、ここに含めていいだろう。

多発性硬化症や痙攣、脊髄損傷、偏頭痛、緑内障、てんかんといった症状については、現在のところ個々の事例にもとづいた証拠しかない。

大麻の活性成分であるTHCの安全性は高い

短期的に見ても長期的に見ても毒性はきわめて低い。だが不可な精神反応や陶酔効果、高度な運動機能や認識機能の一時的損傷といった一部の急性効果のために、薬剤としてのTHCの有用性が制限される結果となっている。

薬効と望ましくない効果との間位にある有効服用量の範囲はきわめて狭いものとみられる。

循環系の疾患

循環系の疾患や分裂病にかかった患者は大麻製剤を投与する対象としてふさわしくない。

THCの循環系への効果や分裂病性の症状を悪化させる傾向があるからだ、また、中枢神経に作用するほかのほとんどの薬剤と同じように、妊娠中は大麻の使用は避けるべきである。

マリファナ吸引

マリファナ吸引の安全性については大いに疑問の余地がある

習慣的使用者のかなりの割合で慢性の気管支炎を引き起こし、長期的に見た場合に気道のがんとのつながりが指摘される恐れがあるため、安全上長期的使用を勧めることはできない。だが特定のケースの重篤な患者に恩情処置としてマリファナ吸引を使用することは、認められてもよいと思われる。

マリファナ吸引の使用を含めたあらゆる事例について、さらに適切な照査をともなった臨床試験が必要とされ、新たな投与手段についても研究を進めることが大きな優先課題といえる。

米国医学研究所はその報告「マリファナと医薬」(1999年)のなかで、安全性の問題について次のように簡潔にまとめている。

マリファナはまったく害のない物質というわけでもない。さまざまな効果をともなった強力な薬物である。だが吸引にともなう弊害と除き、そのほかの用途ではマリファナによる副作用は許容範囲内にあるといえる。

出典:マリファナの科学