THCの副作用を中和するカンナビジオール(CBD)

THCは大麻に含まれる唯一のカンナビノイドではない

カンナビノイドとは大麻花から分泌される化学的化合物で、それぞれ脳や人体において異なる効能を持っています。テトラヒドロカンナビノール(THC)は大麻に最も多く含まれるカンナビノイドです。ほとんどの人が大麻と聞いて連想するハイな状態を作り出すことで知られているTHCは、複数の薬効(抗炎症、抗けいれん)および抗がん作用を持ちます。しかしTHCには、モチベーションの低下、社会不安の増大、記憶障害など良くない副作用がいくつかあります。これらの不快な副作用は、THCを別のカンナビノイドと組み合わせることで副作用自体を除去できる可能性があることが、新たな研究で示唆されています。そのカンナビノイドとは、カンナビジオール、またはCBDと呼ばれています。

CBDもまた人体のエンドカンナビノイドシステムに作用する

CBDは、数々の利点の中でも特に、ある種の癌と闘う、炎症軽減、鎮痛、不安緩和、骨成長を刺激する、脳細胞の保護、けいれんの軽減などに役立ちます。残念ながら、大麻株のほとんどはTHCを高濃度、CBDを低濃度含むものが多いのが現状です。この濃度の割合は、一般的に大麻と関連する不快な副作用の原因である可能性があります。幸いなことに一部の企業が、THCとCBDを1:1で含有する大麻オイルを生産することにより、これらの副作用を除去することに全力を尽くしています。

誰もが「怠惰な大麻愛好家」というステレオタイプを聞いたことがあるでしょう。大麻喫煙者は、ジョイントを巻き、ピザを注文し、アニメ番組を見ること(考えてみれば、とてもリラックスできる週末の過ごし方のように聞こえます)以外、週末に何かを達成するようなことはできない、とされる見解です。このステレオタイプは現実をひどく誇張したものですが、実際多くの大麻株がモチベーションを低下させるという証拠があります。

研究者は、雄弁にシンプルなやり方でモチベーションを検査することができます。参加者に2つのうち1つの課題を完了するように選択肢を与えます。1つの課題は低程度の努力が必要とされ、同様に低い報酬がもらえます。もう一方では高度な努力が必要とされ、同様に高い報酬がもらえます。高度な努力と高い報酬をもらえる課題を選ぶことは、より高いモチベーションを持つことを示します。

どのようにTHCとCBDをこの検査に取り込むのか?

THCのみを与えられた参加者が簡単な課題で低い報酬を得るのに甘んじた一方で、THCとCBDを同程度与えられた参加者は、高い報酬を得るためにより難しい課題を選ぶ傾向にあることが分かりました。言い換えるとCBDは実際、「怠惰な大麻愛好家」のステレオタイプになることから使用者を保護している可能性があります。

“恐れ”とは、ハイになり過ぎて、社会的環境から離れる必要性を感じるときに起こる社会現象です。例えば今のように。私たちの多くが一度はそれを経験したことがあるしょう。あなたはそれを、新鮮な空気を吸うために外に出ることで克服したかもしれません。または裏口からこっそり出てタクシーを呼び、友達にはまた明日とメッセージを打つことで切り抜けたかもしれません。その解決策はともかく、最初からそんな問題が無いのが一番ではないでしょうか?

これは科学者が社会不安と呼ぶものの極端な一例でしかありません。当然ながら科学者はさまざまな手法で、社会不安を研究し、定量化しています。1つの独特な方法は、参加者に見知らぬ他人の写真を見せることです。他人は人にいくらかの不安を引き起こします。

特に他人が不安そうな、または恐れている表情をしているときに、典型的に悪化します。研究では、THCを与えられた参加者の方がプラセボを与えられた参加者よりも大きく不安を感じました。不安は、恐れと一致する行動反応です。興味深いことに、THCとCBDを与えられた参加者は、プラセボを与えられた参加者よりも大きい不安を感じませんでした。

先ほどの例と同様に、THC単体で引き起こしうる不快な副作用からCBDが使用者を保護するように見えます。

別の研究結果は、実はCBDが単体で、演説によって引き起こされる不安を劇的に軽減することを示しています。
演説をする90分前までにCBDを摂取した参加者はプラセボを摂取した参加者よりも、劇的に少ない不安、少ない不快感、より低い血圧および心拍数を経験しました。もし大事なスピーチ控えているなら、神経をなだめるためにCBDを摂りつつ練習をするとよいかもしれませんね。

開いた食器棚をぼんやり見つめながら頭を少し傾げて、「私はなんで台所に来たんだっけ?」と自問するという経験は、誰もがしたことがあるでしょう。記憶は大麻使用者にとって強化点ではありませんが、CBDが役に立つかもしれません。

ここまでくれば、この議論がどこに向かっているかあなたには分かるでしょう。THCとCBDを摂取した参加者は、THCのみを摂取した参加者よりも、さまざまな記憶課題においてより良い行動を示しました。さらに、THCとCBDを摂取した人は、プラセボを与えられた参加者と同じような得点を得ました。従ってCBDは、大麻使用者に共通する記憶の損失を完全に予防する可能性があります。CBDの助けがあれば、次に台所に行ったとき、お気に入りのお菓子を手に入れることを忘れないかもしれません。

THCは、大麻に関連しがちな精神活性効果および薬効を作り出す主なカンナビノイドですが、CBDと組み合わせることで複合的な薬効が追加され、また不快な副作用を軽減できます。THCとCBDを1:1の割合で含む製品は、CBDを最低限しか含まない製品よりも、モチベーションの低下、社会的離脱、記憶力減退を起こさない傾向にあります。

THCとCBDを1:1の割合で含む製品は、CBDオイル、食品または外用品として販売されており、おそらく近所の大麻薬局ですでに購入することができます。探してみるか、販売員に聞いてみてください。