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カンナビノイド受容体の働きについて

カンナビノイド受容体

カンナビノイドは脂溶性であり、当初、全身麻酔薬に類似する機序で作用すると考えられていた。

しかし1988年、ラット脳をホモジナイズし作成した膜分図で、トリチウム標識化カンナビノイドの飽和性、高親和性結合部位の存在が明らかとなり、これがラット脳で特異的カンナビノイド受容体の発見に結びついた。

その後末梢組織で見つかったCB2受容体と区別するため、これらの受容体はCB1受容体と呼ばれる。

カンナビノイド受容体は、典型的なGi/o蛋白質共役型受容体ファミリーの1つであり、CB1受容体はGを介してアデニル酸シクラーゼと電位依存性カルシウムチャネルの阻害に連関している。

また過分極を引き起すG蛋白質感受性内向き整流性K+ G-protein-sensirive inward-rectifying potassium(GIRK)チャネルの活性化に連関している。

これらの効果は、オピオイド受容体を介した反応と類似している。

CB1受容体は、神経終末の原形質膜に存在し、脱分極とCa2+流入により生じるシナプス前終末からの伝達物質の放出を抑制する。

CB受容体類は、直接マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼを活性化することで、あるいは間接的にアデニル酸シクラーゼ活性を減少しプロテインキナーゼAの活性を抑制することで、遺伝子発現に影響を与える。

CB1受容体は、脳内に多量に存在する受容体の1つであり、その量は、主な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸受容体や抑制性伝達物質であるGABA受容体に匹敵する。

この受容体は、脳内に均一に分布するのではなく、海馬(カンナビノイドの記憶に関する効果に関連)、小脳(協調運動障害に関連)、視床下部(食欲調節に関連)、黒質、精神的な“報酬”に関わる中脳辺縁ドパミン神経系、そして大脳皮質の連合野に高濃度分布する。

脳幹にはCB1受容体は比較的少ない。

これが、カンナビノイドの呼吸と心臓血管に対する中毒作用の欠如を説明しているかもしれない。

細胞レベルでは、CB1受容体はシナプス前部位に局在し、前述したように伝達物質の放出を抑制する。しかしながら、オピオイドと同様、海馬や扁桃体で、CB1受容体はGABA作用性介在ニューロンを含む抑制性経路を抑制し、ある種の神経路の活性を増強している。

かなり詳細が明らかになっている中枢神経の局在に加え、CB1受容体は内皮細胞や脂肪細胞を含む末梢組織にも発現している。

カンナビノイドは体重に対する作用である、CB1受容体の活性化による脂質生成を促進する。

末梢カンナビノイド受容体(CB2サブタイプ)は、CB1とおよそ45%のアミノ酸相同性を持ち、主にリンパ系組織(脾臓、扁桃腺そして循環リンパ球、単球をと同様に胸腺、そして組織肥満細胞)に局在している。

CB2受容体は、中枢神経系のミクログリア-免疫細胞上にも存在する。

免疫系細胞でのCB2受容体の局在は予想外であるが、しかし、これがマリファナの免疫機能抑制作用を裏づけているかもしれない。

CB2受容体は、CB1受容体とカンナビノイドのリガンドによる反応性で異なっている。

CB2受容体は、CB1受容体と同じようにGi/oを介してアデニル酸シクラーゼやGIRKチャネル、MAPキナーゼと連関するが、電位依存性カルシウムチャネルとは連関しない(免疫細胞では発現していない)。

これまでのどころ、CB2受容体はの生理機能についてはほとんど解明されていないが、アテローム性動脈硬化症の病巣に存在し、CB2アゴニスト(作用薬)が抗アテローム性動脈硬化症を示すことが明らかにされている(Steffensら.2005)驚くべきことに、ある種の内因性カンナビノイドは侵害受容線維終末を刺激し、イオンチャネル型受容体であるバニロイド受容体 vanilloid receptor を活性化する。

CB1ノックアウトマウスの脳ではCB1受容体が欠損しているにもかかわらず、カンナビノイドがG蛋白質を活性化し鎮痛作用を発現することから、未知のG蛋白質共役型受容体が関与している可能性がある。

生理学的機序

CB1受容体の興奮とそれに伴う行動及び精神的影響に関わる内因性カンナビノイドの放出を引き起す要因については、あまり明確にされていない。

前述したように、Ca2+は内因性カンナビノイドの生合成に関与するNAPE-PLDや他の酵素を活性化するため、細胞内Ca2+濃度の上昇が重要な細胞の引き金になっているものと考えられる。

CB受容体の興奮は、脱分極週誘導性抑制低下 depolariza-tion-induced suppression of inhibition(DSI)としてしられている現象に関わっている。

DSIは海馬の錐体細胞でみられる。これらの細胞は、興奮性入力により脱分極すると、錐体細胞へのGABAを介する抑制性入力が低下する。

これは、脱分極した錐体細胞から錐体細胞に終末を持つ抑制性軸索への情報の逆流を意味している。

このようなシナプス後細胞からシナプス前細胞への情報の逆流は、侵害受容経路での“ワインドアップ”や、海馬での長期増強効果のような神経可塑性の別のタイプの機構である。

海馬では、一酸化窒素が脱分極した海馬のニューロンからグルタミン酸を放出する興奮性軸索終末へ拡散し、興奮性の逆行性メッセンジャーとして働いている。

DSIは、CB1アンタゴニスト(拮抗薬)、リモナバン rimonabantによって遮断される。CB1受容体のシナプス前の局在やカンナビノイド2-AGがDSIの“逆行性”メッセンジャーであろうという考えにうまく一致する。

内因性カンナビノイドの神経調節作用は、侵害受容、心臓血管、呼吸、胃腸機能を含む広範囲な生理活動に影響を与えている。

視床下部ホルモンとの相互作用は、食物摂取や性機能に影響を与える。肥満の重要性とCB受容体アンタゴニストがこの治療薬になりうる可能性のため、食物摂取に対する内因性カンナビノイドの効果は特に興味深い。

植物由来のカンナビノイドと薬理学的効果

マリファナ Cannabis sativa(大麻)は精神作用を持つため何千年もの間使用されてきた。

その医薬品としての使用は古代から認められていたが、1964年主要な精神活性成分としてテトラヒドロカンナビノール tetrahy-drocannabinol(THC)が同定され、初めて強い関心を浴びるようになった。

マリファナの抽出成分は、カンナビノイドと呼ばれる多数の関連化合物を含み、それらの大半は水に不溶である。

最も豊富なカンナビノイド類は、テトラヒドロカンナビノールと、その前駆物質であるカンナビジオール cannabidiol、そしてテドラヒドロカンナビジオールの自然崩壊産物であるカンナビノール cannabinolである。

カンナビジオールおよびカンナビノールには、テトラヒドロカンナビノールでみられるような精神異常発現効果はないが、抗痙攣作用と肝臓薬物代謝を誘導する作用がある。

内因性カンナビノイド

  • カンナビノイド受容体(CB1.CB2)はG蛋白質共役型である。
  • CB1の活性化は、アデニル酸シクラーゼとカルシウムチャンネルを抑制、カリウムチャンネルを活性化しシナプス伝達を抑制する。
  • 末梢受容体(CB2)は主に免疫細胞に発現する。
  • 選択的アゴニスト及びアンタゴニストが開発されている。
  • CB受容体の内因性リガンドは、内因性カンナビノイド類と知られている。それらは、エイコサノイドメディエーターでもある。
  • 最も確立されている内因性カンナビノイド類は、アナンダミドと2-荒木どにルグリセロール(2-AG)である。これらのリガンドは、シナプス後からシナプス前ニューロンに情報を伝える“逆行性”メディエーターとして働いている。
  • アナンダミドを不活性化する主な酵素は、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)である。
  • 推定上の内因性カンナビノイド膜トランスポーターは、シナプス後ニューロンで産生されたカンナビノイド類を、シナプス後ニューロン間隙へ輸送する。
  • そこでカンナビノイド類はCB1受容体に接近し、シナプス前終末内に輸送され、2-AGが代謝される。

  • FAAH”ノックアウト“マウスでは、脳内アナンダミド量の増加と疼痛域値の上昇がみられるFAAHの選択的阻害薬は鎮痛作用と抗不安作用を生じることから、内因性カンナビノイドを侵害受容と不安に関連づける。
  • CB1受容体アンタゴニスト、リモナパンは持続的な体重減少を生じ、禁煙を促進する可能性がある。

薬理作用

テトラヒドロカンナビノールは、主に中枢神経系に作用し、様々な中枢を介した末梢自律神経効果と、精神異常作用と抑制作用の入り混じった反応を起こす。

ヒトでの主な自覚症状には次のようなものがある。

  • 安らぎと幸福感、エタノールの薬理作用から無関心と攻撃性を取り除いた効果に類似する(危険に対する無関心さはアルコールの主な特徴であり、しばしば交通事故の一因となる。マリファナ使用者は、アルコールと同じように運動能力が損なわれていても、事故は起こしにくい)。
  • 非常に強烈で、より幻想的を思われる鋭く研ぎ澄まされた知識認識の感覚。

これらの効果は、リゼルグ酸ジエチルアミド lysergicacid diethylamide(LSD)のような幻覚薬の効果に類似するが、一般に比較的弱い作用である。

被検者は、時間がきわめて穏やかに過ぎてゆくことを報告している。LSDでしばしば体験される不安感や偏執性妄想はマリファナではほとんどない。しかしながら慢性使用が、総合失調症や気分障害の発症率の増加に関与するという報告がある(Henquetら.2005)。

ヒトおよび動物実験で直接測定可能な中枢作用としては以下のものがある。

  • 短期記憶と単純学習課題の障害:自信と研ぎ澄まされてた創造性の主観的な感覚は、実態を反映したものではない
  • 運動神経障害(例:運転能力)
  • カタレプシー:固定した不自然な姿勢の保持
  • 低体温
  • 無痛覚
  • 制吐作用
  • 食欲増加
  • 頻脈:これは交感神経伝達障害薬によって抑制できる
  • 血管拡張:特に強膜と結膜の血管で顕著であり、マリファナ禁煙者特有の眼の充血を引き起す
  • 眼内圧の減少
  • 気管支拡張

耐性と依存症

マリファナによる耐性と身体的依存は比較的弱く、ヘビーユーザーでのみ生じる。禁断現象は、エタノールあるいはアヘンの使用を中止した時の症状に類似し、悪心、興奮、過敏、錯乱、頻脈、発汗が生じる。

しかし、比較的穏やかで、薬を飲みたいという強迫的衝動には陥らない。マリファナで精神的依存は生じるが、主要な嗜癖性薬物に比べるとあまり強くない。マリファナを常習性薬物に分類すべきかどうかは、議論の余地がある。

薬物動態と分析的側面

喫煙によりマリファナが十分な効果を発現するには、およそ1時間近く必要である。この効果は2~3時間持続する。

少量のTHCは、11-ヒドロキシ-THCに変換される。これは、THCよりも活性化体であり、おそらくマリファナを喫煙した時の薬理作用に重要な役割を果たしている。

THCの大部分は、抱合と腸肝再循環を被りやすい不活性化体に変換される。きわめて脂溶性が強く、THCとその代謝産物は体脂肪に取り込まれ徐々に排出されるため、1回の服用で数日間持続する。

THCのラジオイムノアッセイでは交差反応が起こるため、法医学的に体液中の正確なTHCの同定と定量が必要な時には、質量分析が行われる。

有害作用

過量でもTHCは比較的安全である。眠気と意識混濁が生じるが、致命的な呼吸麻痺や心血管機能低下は生じない。この点で、アヘン剤やエタノールのような多くの乱用される薬物よりも安全である。

低用量でさえTHCやナビロン nabiloneのような合成誘導体は多幸感や眠気を引き起し、時には感覚の歪みや幻覚を起こす。このような効果が、マリファナ使用に関する法的規制とともに、治療でのカンナビノイド類の普及を妨げている。

THCは、げっ歯動物に対する催奇性、突然変異誘発性があり、ヒトでは循環白血球の染色体の切断の発生率の増加が報告されている。このような切断は、決してマリファナに特有なものではなく、疫学的にマリファナ使用者に胎児性奇形または癌が増加する危険性は証明されていない。

マリファナ

  • 主な成分は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)である。薬理学的に有効な11-ヒドロキシ基の代謝産物もまた重要である。
  • 中枢神経系の作用は抑制効果と精神異常作用がある
  • 主観的体験は、研ぎ澄まされた知覚過敏、多幸感、くつろぎ感である。
  • 客観テストでは、学習能力障害、記憶障害と運転能力障害を含む運動障害が見られる。
  • THCもまた動物実験で、カタレプシーと低体温に加え鎮痛作用と制吐作用を示す。
  • 末梢作用としては、血管拡張、眼圧の低下、気管支拡張がある。
  • カンナビノイドは、アヘン、ニコチン、アルコールに比べて依存性は少ないが、長期にわたる精神的影響がある。
合成リガンド

有用な非オピオイド/非NSAID鎮痛薬になるかもしれないという期待を込められ、カンナビノイド受容体アゴニストが1970年代に開発された。しかしながら、有害作用、特に鎮静作用と記憶障害は解決困難な問題であった。

このような薬物の1つナビロン nabiloneは、細胞毒性を持つ化学療法に起因した吐き気と嘔吐で従来の制吐剤が効かない時に、しばしば使用される。

CB2受容体あクローニングされ、正常な脳ではCB2受容体が欠如していることが明らかとなり、選択的CB2アゴニストでは、植物由来カンナビノイドの中枢神経系関連の有害作用の消失が期待できることから、CB2アゴニストの合成が試みられた。現在、このような薬物の一部は、炎症性疼痛と神経因性疼痛の治療薬として開発中である。

CB1受容体を介するシグナル伝達の効果、およびアゴニスト選択制を持つ一連の類似化合物の議論については、Howlett(2004)のレビューを参照のこと。

最初の選択的CB1受容体アンタゴニストであるリモナバン rimonabantは、ある組織ではインバースアゴニスト inverse agonistの性質を示し、治療にかなり有望視されている。

現在、肥満とタバコ依存症の適応のため臨床試験が進行中である。

内因性カンナビノイドの取り込みおよび代謝の合成阻害薬は、疼痛、てんかん、多発性硬化症、パーキンソン病、不安、下痢の動物モデルで、治療薬になる可能性が示唆されている。

病的関与

 
種々の神経変性疾患で、実験動物とヒト組織の内因性カンナビノイドのシグナルが異常であるとの報告がある。

実験動物モデルとヒト組織で、内因性カンナビノイドシグナルの異常が報告されている。

疾患としては、その他には低血圧ショック(出血性や敗血症)、進行性肝硬変(内因性カンナビノイドが血管のCB1受容体に作用し血管拡張を引き起す;Barkaiら.2001)、流産(Maccarroneら.2000)悪性疾患(Galve-Roperhら.2000)がある。

内因性カンナビノイド活性は、ある種の疾患では病気の進行や発症を制限する代償性機構かもしれないが、他の疾患では、それは“ありがた迷惑”かもしれない。

事実、病気の進行の一因となっている。

したがって、治療にはカンナビノイド系を増強する、あるいは抑制する薬物が存在する可能性がある。

詳細については、DiMarzoら(2004)参照のこと。

臨床適用

カンナビノイド系に作用する薬物の臨床適用の是非については、現在論争中である。

しかし、HIV-AIDSや悪性腫瘍のような慢性疾患の患者に制吐薬として、あるいは体重増加を促すために、イギリスと米国ではすでに使用されている。

多発性硬化症患者の無作為化対照試験では、テトラヒドロカンナビノールが痙縮に有効であるという客観的な証拠が認められなかった。

しかし運動性を改善した。服用量では、有害事象は一般に軽度である(UK MS Reserch Group.2003)。

可能性のある他の臨床適用については、下記に示した(※)。

CB1受容体アンタゴニストであるリモナバンはプラセボ対照試験で、カロリーを減らした食事との組み合わせで12ヵ月処置後、服用量に関連した体重減少を引き起こした(高用量で、およそ1ストーン[約6.35kg])。報告された臨床試験で使用された用量では副作用は比較的軽度であり、吐き気、下痢のような症状が生じた。

これは生体内で持続的に活性化されている内因性カンナビノイド系を遮断するため予想される症状である。

臨床試験で長期にわたる精神的な影響が、快感消失(すなわち喜びの消失)の所見と、うつ病または心因性障害の他の徴候のために慎重に分析されている(訳注:リモナバンは重篤なうつ病と自殺企図の副作用があり、申請却下となった)。

※カンナビノイドアゴニストとアンタゴニストの潜在的および実用的臨床適用

カンナビノイドのアゴニストとアンタゴニストは、下記を含む広範にわたる適応の可能性が調べられている。

  • アゴニスト

     -緑内障(眼圧を減少させるため)
     -癌化学療法による吐き気/嘔吐
     -癌やAIDS患者での体重低下に対して
     -神経因性疼痛
     -頭部損傷
     -トゥレット症候群(この疾患の特徴である急速な付随意運動、チックを減少させるため)
     -パーキンソン病(レボドパの有害作用、不随意運動を減少させるため)

  • アンタゴニスト

     -肥満症
     -タバコ依存症
     -薬物嗜癖
     -アルコール依存症

公開日:
最終更新日:2017/12/14