HIV感染と医療大麻-AIDS患者の消耗症候群を救った医療大麻-

「消耗症候群 (Wasting syndrome)」という疾患をご存知でしょうか。これはエイズ指標疾患のひとつでもあり、下痢や発熱、体重減少などで身体が衰弱していく疾患です。目に見えて痩せていくことから「スリム病」と呼ばれた時期もありました。

急激な痩身現象は脂肪や筋肉組織を溶解してしまう急性栄養失調によるものです。加えて吐き気に伴う食欲不振により、体重はどんどん減少してゆき、体力の低下を招きます。エイズが爆発的に蔓延した1980年代、「エイズ・クライシス」のさなか、この消耗症候群患者の多くが医療大麻の力で生き残ったそうです。

医療大麻は食欲を増大させ、患者の多くが苦しんでいた食に伴う嘔吐感を減少させる効能がありました。吐き気を最小化させることにより、多くのHIV感染者が食べ、よく眠ることができたのです。更に医療大麻は、エイズ患者にとって困難だった疼痛をも緩和する役割を担ったのです。

参考文献“Weed” David Schmader, Sasquatch Books 2016