カンナビス(大麻)用語集

アイソレート
ヘンプの成分からCBD、CBGなど一つのカンナビノイド成分のみを分離して精製し、結晶化したパウダー状の製品のこと。クリスタルとも呼ばれます。純度が97%異常であることが多く、その他カンナビノイドやテルペンは含まれません。

アゴニスト
アゴニストとは受容体を活性化する分子です。モルヒネはその効果を発揮するために、オピオイド受容体に作用するアゴニストで、THCはカンナビノイド受容体で作用するアゴニストです。複数のアゴニストが、一つの所定の受容体に作用することができます。

アナンダミド
アナンダミド(アラキドノイルエタノールアミドまたはAEA)とは、CB1受容体に結合する内在性カンナビノイドで、THCが類似の効果を持っています。

アンタゴニスト
アンタゴニストとは、アゴニストを遮断することによって、受容体の活性化を妨げます。
オピオイド拮抗薬のナロキソンは、モルヒネが痛みを緩和することを妨げます。また、カンナビノイドのアンタゴニストであるSR-171416A(Rimonanbant)はTHCが食欲を刺激することを妨げます。アンタゴニストは、直接的(アゴニストが結合する場所をブロックします)、または間接的(アゴニストが活性化できないように、受容体を変形したり、形状を変化させたりします)に作用します。

アントラージュ効果
ヘンプに含まれるCBDなどのカンナビノイド、テルペン、フラボノイドなどの植物成分を一緒に摂取することにより、それぞれの成分が相互作用して相乗効果を生むことを意味します。つまり、CBDのみなど単一のカンナビノイドを摂取するより、多様な成分が含まれている方が大きな効果を得られることになります。

医療大麻
医療目的で使用される大麻のことです。目的によってTHCが高濃度だったりCBDが高濃度だったり、同じような割合で含まれていたり、と成分の割合がさまざまな大麻が使用されています。摂取方法も多様で、喫煙から蒸気吸引、オイル、食用品の摂取、外用品など、摂取方法によって異なるタイプの製品があります。

FDA
アメリカ食品医薬品局。食品、医薬品、化粧品および医療機器などの承認や規制、安全性や有効性の評価、臨床試験の規制などを専門的に行うアメリカの政府機関です。

エンドカンナビノイド
エンドカンナビノイドとは内因性のカンナビノイドです。体内に天然に存在する化学物質であり、植物カンナビノイドと同様の効果を持ちます。(進化の出現の順としては、植物カンナビノイドに先立ち、内因性カンナビノイドが神経伝達のために動物によって作られました。)実験室で作られた合成カンナビノイドは、植物カンナビノイドと同様の効果を持っています。

エンドカンナビノイドシステム
エンドカンナビノイドシステムとはすべての哺乳類に備わっている重要な恒常性調節システムで、睡眠、疼痛、気分、食欲、ストレス、記憶など数多くの生理機能に関与しています。このシステムは、体内で生成される内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)とカンナビノイド受容体の複雑なネットワークで構成されています。

カンナビス・インディカ
医療用、嗜好用で使用されている大麻は大きく分けて2種類あり、そのひとつがカンナビス・インディカです。通常、インディカ種は低い茂みのように生え、サティバよりも葉の幅が広いです。医療用の場合、CBD濃度が高く、THC濃度が低い傾向にあります。作用として、より鎮静効果、リラックス効果、制吐効果などが強く出ます。

カンナビス・サティバ
医療用、嗜好用で使用されている大麻は大きく分けて2種類あり、そのひとつがカンナビス・サティバです。背が高く成長し、葉の幅がインディカよりも細く、緑色も明るめです。作用としては、抗不安効果、抗うつ効果などが強く出ます。

カンナビノイド
カンナビノイドとは、カンナビノイド受容体を活性化させる化学物質であり、3つのタイプがあります。最初に発見されたのが、大麻植物に含まれる特定の活性成分です。それがカンナビノイドの名前の由来になっています。100以上のカンナビノイドが、植物において同定されています。カンナビノイドは、異なる部位で水素と酸素分子が結合している、21個の炭素原子をもつ環構造です。植物カンナビノイドはフィトカンナビノイドと呼ばれています。

カンナビノイド受容体
カンナビノイド受容体とはカンナビノイドに結合するタンパク質受容体で、2種類のカンナビノイド受容体が発見されています。CB1受容体は、脳および中枢神経系‐特に運動、知覚、認知、感情を調節することが知られている領域に集中しています。CB2受容体は主に免疫系および末梢器官に関連した組織中に見出されます。また、形の上ではカンナビノイド受容体とは見なされない、カンナビノイドのシグナル伝達に関与する他の受容体がいくつもあります。
細胞
細胞とは生命の基本単位であると考えられています。細胞には、受容体およびシグナル伝達分子を含む、何十万ものタンパク質分子が含まれています。細胞が家くらいの大きさだった場合、タンパク質はドアノブくらいの大きさになるでしょう。

逆行性シグナル伝達
逆行性シグナル伝達とは、シナプス後細胞からの化学信号が、シナプス前細胞からの神経伝達物質の放出に影響を与えるプロセスです。逆行性シグナル伝達では、シナプス後細胞が、シナプス前細胞からのさらなる神経伝達物質の放出を防ぐために、化学信号を放出します。内因性カンナビノイドは、逆行性の様式で、GABAやセロトニンなどの他の神経伝達物質の放出を遅らせたり刺激したりする機能があると考えられています。アナロジーは、オーケストラに向かい合った指揮者のようなもので、それぞれの楽器が出す音のテンポや音量を指揮します。内在性カンナビノイドシステムは、体の支配的な調節因子です。その理由は、大麻使用が非常に多くの症状や状態に影響を与えるからです。

合成カンナビノイド
大麻やヘンプに含まれる化合物カンナビノイドを人工的に合成して作成したもの。天然の大麻から抽出されたカンナビノイドでは医薬品認証が難しいため、THCまたはCBDなどを合成して作成されている医薬品(サティベックス、マリノールなど)があり、主に医療目的で使用されています。
一方でこれと似ているが全く異なるのが、いわゆる危険ドラッグの部類に入る合成カンナビノイドです。このタイプの合成カンナビノイドは、大麻の精神活性成分であるTHCが結合するのと同じカンナビノイド受容体に結合するように合成されたカンナビノイドのことで、THCの2〜100倍の強さを持つと言われています。K2、スパイスなどの隠語で呼ばれる危険ドラッグが合成カンナビノイドとして有名ですが、健康に対して有害なため決して使用しないでください。

CBD
CBD(カンナビジオール)とは、様々な非カンナビノイド受容体を直接的に活性化し、CB受容体を活間接的に性化する、非精神性の植物カンナビノイドです。CBDは、抗痙攣、抗精神病、抗酸化、神経保護、および免疫調節特性を持つことが示されています。

CBDオイル
産業用ヘンプから抽出されたカンナビジオール(CBD)を含むオイルで、さまざまな薬効があると言われています。日本で輸入販売されているCBDオイルは、特に成熟した茎と種子から作られています。花や葉から抽出されたCBDオイルは日本では違法になるので、ご注意ください。

CBDリキッド
Eリキッドなどと呼ばれる加熱式電子タバコの一種、ヴェポライザーで使用する液体にCBDが入っているリキッドのことを指します。

シナプス
シナプスとは、信号を送るニューロンとそれを受けとるニューロン間のギャップです。2つのニューロンは、それぞれ「シナプス前」「シナプス後」と呼ばれています。これまでに100種類以上の神経伝達物質が同定されています。

受容体
受容体とは、細胞内のイベントを開始するために、シグナル‐ホルモン、神経伝達物質、薬物、特定の温度、または他の刺激‐を認識してそれに応答する、細胞の膜に埋め込まれたタンパク質です。
細胞膜は、脂質(脂肪)の複合体で構成されています。

セロトニン
神経伝達物質のひとつで、別名「幸せホルモン」と呼ばれています。感情や精神面、睡眠などの機能に深くかかわっています。

大麻オイル
大麻から抽出されたオイルで、CBDだけでなくTHCやその他カンナビノイドが含まれます。

大麻取締法
日本で第二次世界大戦後の1948年に制定された大麻の所持、栽培、譲渡等を取り締まる法律です。日本における大麻の定義を定めた第一章第一条では「この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」とされています。

THC
THC(テトラヒドロカンナビジオール)とは、医療、娯楽目的のために栽培された植物に多く含まれるカンナビノイドで、精神活性があります。THCは、CB1受容体に結合し、鎮痛、抗痙攣、抗振戦、抗炎症、食欲刺激、および抗悪心効果を持つことが示されています。一部の、単一分子の合成THCの製品(マリノール(Marinol)、ナビロン(Nabilone)、セサメット(Cesamet))は、薬局で販売されています。

DEA
アメリカ麻薬取締局。アメリカ司法省の法執行機関であり、1970年規制物質法の執行を職務とする連邦捜査機関です。本部はバージニア州アーリントン。

テルペン
てルペンとは植物の精油成分から得られる天然有機化合物の総称で、テルペノイドとも呼ばれます。テルペンは全ての植物、花、ハーブに多様な香りを与えている成分で、それぞれにさまざまな薬効があり、アロマセラピーにおいて重要な化合物です。代表的なものに、リモネン、リナロール、メントール、ピネンなどがあります。

2-AG
2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)とは、CB1およびCB2受容体の両方に結合する内因性カンナビノイドです。2-AGは、アナンダミドより量は豊富ですが、活性は低いです。

ディスペンサリー
アメリカで医療大麻を販売している薬局のこと。

ドーパミン
神経伝達物質のひとつで、人の感情や精神面、記憶や運動機能、睡眠などの重要な働きを担います。やる気や集中力を上げる分子としてよく知られています。

ニューロン
ニューロンとは神経伝達物質と呼ばれる化学物質によって他の神経細胞に信号を伝達する神経細胞です。

バイオアベイラビリティ(生体利用効率)
生体利用効率とは、投与された物質がどれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標です。物質が生体に吸収される、または生理作用の部位で利用可能になる度合いおよび比率であると定義されています。

ヘンプオイル
日本でヘンプオイルというとき、ほとんどの場合は食用のヘンプシードオイルをしています。

ヘンプシードオイル
ヘンプの種子から抽出されたオイルのことです。ヘンプは大麻の仲間ですが、精神活性作用を持つTHCをほとんど含まないため、安心して使用できます。またオメガ3&オメガ6脂肪酸やガンマリノレン酸を理想的な割合で含むため、食用としてもスキンケア用としても有益に使うことができます。