研究が実証!CBDが自閉症治療の将来に有望である理由

CBDが自閉症治療に有効である可能性は以前から注目されてきました。海外では「カンナビジオール(CBD)が自閉症の治療に役立った」「CBDを飲み始めたら自閉症の症状が改善した」という事例報告が後を絶たず、医療大麻が合法化されている米国の各州では、自閉症が適応疾患リストに追加されている州も多くあります。本記事では、自閉症の基本情報やCBDが示す治療の可能性について詳しく解説します。

1.自閉症スペクトラム障害とは?

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、コミュニケーションの困難さ、異常な社会行動、限定された反復的な運動行動によって特徴付けられる発達障害の一種です。

①自閉症の原因

残念なことに自閉症の原因は分かっていません。そのため、対象薬の開発が困難なのです。しかし、遺伝子変異、環境要因(例:農薬、出産前の薬物暴露、親の年齢)、またはその組み合わせなど、さまざまな要因が自閉症の発症に関わっていることが分かっています。要因の幅広さは、自閉症が軽度から重度までの症状の重症度を持つスペクトラム障害と見なされている理由を浮き彫りにしています。このため自閉症の薬物治療は特に困難です。

一方で、多くの自閉症のケースで脳の“抑制系”が低下していることを示す証拠が増えてきています。これは、脳の抑制性シグナル伝達を強化する大麻系薬剤、特にCBDが豊富な調合薬が潜在的に自閉症治療薬となりうる可能性を示しています。

②自閉症の症状

文部科学省によると、自閉症に3つの特徴は以下のように定義されています。自閉症ではこの特徴を軸に幅広い症状が出るため、自閉症スペクトラム障害と呼ばれています。

  • ①他人との社会的関係の形成の困難さ
  • ②言葉の発達の遅れ
  • ③興味や関心が狭く特定のものにこだわる

具体例を挙げると一部の自閉症の子供は、他者と視線を長時間合わせることができません。特定の食べ物があるとその匂いに圧倒され、激しく感情的になることがあります。また特定の騒音を聞くと、耳を塞いで前後に体を揺らします。他の子供たちから離れ、静かな部屋の隅へと逃げることもあります。これらの行動はASDを持つ子供によく見られる行動で、感覚刺激に対する典型的な反応です。

③自閉症の診断

自閉症スペクトラムと診断するための遺伝子検査はありません。また定期的な血液検査やMRIで明らかになる病気でもありません。したがって、ASDは発達スクリーニングおよび包括的診断的評価によってのみ診断することができます。この際、問診や心理検査、知能検査などさまざまな検査を行います。

④感覚過敏の原因

自閉症においてよく見られる感覚に対する過敏性は、脳における感覚情報の“抑制”障害を反映しています。実際に、神経伝達物質GABAによる抑制性シグナル伝達の低下はASDによく見られる神経学的特徴です。脳をラジオに例えると、GABAの抑制性シグナル伝達は音楽のボリュームを下げるだけでなく、音をクリアにしたり、理解できるようにしたりすることもできます。多くのASD患者のケースで見られるように欠陥がある破損によって、言語スキル障害や異常な社会行動の一因となる圧倒的な感覚入力を引き起こされる可能性があります。

⑤治療に有望性を示したスタンフォード大学での研究

スタンフォード大学カール・ダイセロス研究所の研究で、自閉症の遺伝子マウスモデルにおけるGABAの増加が社会行動を正常化できることが分かりました。ダイセロスは、ニューロン活動の調節に光を使う光遺伝学技術のパイオニアです。ダイセロス・チームはある実験で、正常に行動しているマウスの脳に、活性化されるとGABA放出ニューロンを鎮める発光ダイオードを植えつけました。光のスイッチを入れると、マウスの社会的交流時間が減りました。次に自閉症のような社会障害を示すGABA欠乏マウスに光を植えつけました。このケースでは、光のスイッチと入れると、GABAニューロンが活性化されます。予測どおり、自閉症マウスにおける抑制GABAシグナル伝達の増加によりマウスの社会行動は正常化されました。

これらの研究は、少なくともマウスの正常な社会行動におけるGABA作動性シグナル伝達の重要性を強調しています。またGABA系を標的にすることがASDの症状を改善する可能性を提案しています。そこでカンナビジオール(CBD)に注目なのですが、それについては後で説明します。

2.自閉症とてんかんの関係

脳における抑制力の低下はASDに特徴的な症状を引き起こすだけでなく、多くの合併疾患の一因となります。例えば、ASD患者の1/4から半数はてんかん性発作も起こします。てんかんとASDの間にある共存症は、興奮に対する脳の興奮性/抑制性バランスの転換を反映しています。脳の興奮機能と抑制機能のバランスが興奮に大きく傾き過ぎたときに、結果として発作が起こります。てんかんは恒久的に興奮へバランスが傾いた結果として起こる慢性的不均衡を反映しているのです。

てんかん患者のASD治療実現性に関する最大の懸念の一つは、遅過ぎないかという点です。発作は脳に大損害を与え、ニューロン同士のコミュニケーション方法や連携手段を変化させることがあり、また脳を配線が変えられることがあります。幼少期の発作がASDを引き起こすのでしょうか、それともASDは脳の抑制力低下のように異常な脳活動の結果なのでしょうか?これは重要な問題です。なぜなら幼少期の発作が脳の配線を変え、ASDを引き起こすなら、薬理学的介入は遅すぎる可能性があります。すなわち、多くの人に効果がある大麻もこれらの結果を覆せないということです。しかし、もし一部のケースでASDが単に脳機能の不均衡によって起こっているのだとしたら、望みはあります。

3.自閉症とカンナビジオールの研究

治療抵抗性てんかん患者におけるCBDの抗てんかん効果を実証したGWファーマ社による第III相臨床試験の好結果は、てんかんならびに医療大麻界にとって興奮するようなニュースでした。とはいえ、この結果はCBD治療薬がASDなどてんかんの他の側面の治療において有効だったかどうかについて取り上げていません。

過去数年にわたり、ワシントン大学の研究所はASDとてんかんを持つ実験マウスにおける発作や自閉症を治療するCBDの有用性を研究してきました。最新研究では、CBDがこれらのマウスにおける自閉症を効果的に治療することができる初めての前臨床証拠が提示されました。

どのようにマウスにおける自閉症行動を測定するのでしょうか?科学者が社会行動を測るのによく用いるテストは複数あります。ひとつの検査では、他のマウスとの社会的交流に費やした時間を測定します。無生物との交流時間と比較した際、正常に発達したマウスは無生物よりもマウスとの交流を強く好みます。自閉症の実験マウスは、マウスでも無生物でも交流時間は変わりません。しかしCBDを与えると、自閉症マウスは他のマウスとの社会交流を好むようになります。この検査は、ASDを患う子供に一貫して見られる社会交流障害をCBDが改善することを実証しましたが、交流の質に対するCBDの効果については分かりませんでした。

①ワシントン大学における研究

社会交流の質的要素に関する見識を深めるために、私たちは2匹のマウスを正方形の検査室に同時に入れ、自由に室内を探検し、互いに交流させました。この検査で、ASDのマウスは頻繁に社会交流を避け、検査室の隅にうずくまりました。私たちはこれを、部分的に圧倒的な感覚刺激によって引き起こされたと考えられる社会不安の尺度と解釈しました。CBDはこの異常な逃避行動を正常化することができました。これらの結果から、ASDの基本的特性である、脳内の抑制性GABA作動性シグナル伝達障害によって引き起こされる社会交流および社会不安における自閉症のような障害を減弱するCBDの可能性が明らかになります。

これらの社会行動の改善は、脳内の抑制レベルを管理するニューロンの活動を増加させることによって抑制性脳機能を強化するCBDの有用性と関連しています。CBDは脳内の興奮性/抑制性バランスを修復することによって、少なくともマウスにおいて発作を減らし、社会行動を正常化することができるのです。

②イスラエルで実施中!唯一の臨床試験

これまでASDにおけるCBDの有効性を調べた臨床試験はたった1つしか行われていません。現在イスラエルのエルサレムにあるシャエア・ゼデック医療センターで実行中の研究を指揮しているのは、アディ・アラン博士です。

研究では、軽度から重度まで自閉症と診断された120人の子供および若年者を調査しています。CBDが好ましい効果を持つか検査するために、参加者は異なる2種の大麻オイル処方のうち一つ、またはプラセボを投与されます。

研究を指揮する小児神経科医のアディ・アランは次のように話しています。「多くの両親が子供への大麻の処方を求めていました。はじめ私は『自閉症に関する大麻を支持するデータはないから、処方することはできない』と伝えていました」しかし、70人の自閉症患者に対する医療大麻治療が好結果を示したという観察研究の後、アランはデータを作るために臨床実験を行う必要があると決断しました。

大麻が被験者の自閉症患者に役立っているか最終的に言うにはまだ早すぎるとアランは言いますが、初期結果は前向きです。実験に参加している子供たちの一部は前より話せるようになり、一部は自傷またはかんしゃくを起こすのをやめ、また一部は行動障害の減少が十分に見られたために学校に戻ることができました。

この臨床試験は2019年7月まで続く予定です。

イスラエルが世界初のCBDオイルと自閉症に関する臨床試験を実施

1992年から医療大麻が合法とされているイスラエルでは現在、大麻の臨床実験が110件行われています。連邦政府によって未だに大麻が禁止されているアメリカと違い、イスラエルでは大麻研究を実施するのが比較的簡単なのです。医療大麻研究の実施を米当局に認可してもらおうと何年も試みてきたアメリカ人医師アラン・シャックルフォードは、実施させてもらえなかった研究を実行するためにイスラエルの会社を立ち上げました。「イスラエルは有望な治療法としての大麻研究および調査において、世界をリードしています」シャックルフォードはこう言います。

③CBDが有効な結果を示した事例

・ルークの場合

自閉症の息子ルークにCBDオイルを投与し始めたところ、自閉症の症状が改善したという親子の軌跡を紹介しています。YouTubeには動画もあがっています。

・マリエ・リーの息子の場合

ブラウン大学の教師であるマリエ・リーは、自閉症の息子に合成大麻薬マリノールを与えました。マリエの息子は、頭を壁に打ち付けるような自傷行動から自転車に乗れるようになるまで症状が改善しました。

・ジョーイの場合

自閉症の息子ジョーイの母親ミエコ・ヘスター-ペレスは、医療大麻が自閉症の息子に役立つことを発見し、自閉症のための自由基金を設立しました。

・カレルの場合

重度の自閉症を患うカレル・サンティアゴは、1日2回CBDオイルを口内にスプレーするという治療を受けて初めて話せるようになりました。

4.まとめ

CBDが自閉症スペクトラム障害の治療に有効であることを示す科学的証拠はまだ不足していますが、CBDが実際にASD症状の多くを緩和することを示す両親からの事例証拠は増え続けています。事例報告だけでは医学界のASD治療戦略に変化を起こすのに不十分ですが、さらなる調査の正当化を促します。最新の前臨床データと組み合わせて考慮すれば、ASD治療に関するCBDの治療可能性は有望であると言えるでしょう。日本においてはCBDオイルやカンナビジオールの結晶(アイドレート)などを安心に購入できる正規輸入通販ヘンプナビというサイトから購入することができます。