大麻草を研究している科学者が人体の有効な9つの効果を示唆!

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大麻草研究を伝える治療効果とは

近年、大麻は現代科学における最も重要な発展の中心にあります。現代科学は健康と疾患に関する理解を大きく前進させてきました。

大麻の効果に関する研究は直接的に、人体にある主要な生化学的シグナル伝達システムの発見につながりました。気分、血圧、骨密度、代謝、胆力、エネルギー値、疼痛、ストレス、空腹などの感覚に作用する広範囲の生理過程の調節において極めて重要な役割を果たしているエンドカンナビノイドシステムの発見です。

イスラエルの科学者ラファエル・メコーラムは次のように話しています。「数千年前から存在する植物を使用することで、私たちは計り知れないほど重要な生理系を新たに発見したのです。大麻に注目しなければ、これを発見することはできなかったでしょう」

メコーラムが「薬効の宝庫」と表現する大麻は、テトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナビジオール(CBD)など、カンナビノイドとして知られる独自の生物学的活性化合物を100以上含有しています。THCは大麻特有の精神活性化をもたらすことで有名ですが、CBDは精神を活性化させません。しかし、どちらにも重要な治癒効果があります。

植物が生成する植物性カンナビノイドに加えて、人間の体内や脳内にも内因性カンナビノイドと呼ばれる大麻に似た分子が元々含まれています。また治療効果を得るために、エンドカンナビノイドシステムを標的にした新薬を開発する製薬研究者が生成している合成のカンナビノイドも存在します。

これらの新しい合成化合物の一部は、THCやその他大麻化合物が活性化するのと同じ脳や体内のカンナビノイド受容体(CB1とCB2)を活性化します。

また医学者は、直接カンナビノイド受容体に結合することなくエンドカンナビノイドの調子を改善するよう設計された合成薬剤の実験も行なっています。本記事では現在科学者がエンドカンナビノイドシステムの治療可能性を利用するために追求している9つの戦略を紹介します。

1.単一植物性カンナビノイド

マリノールという錠剤で販売されているドロナビノールは、ごま油と組み合わせた単一分子のTHC抽出物です。この薬は医療大麻に対する患者からの需要が高まったことを受けて、1985年に食品医薬品局(FDA)によって迅速に認可されました。

FDAが注目しているその他のTHC調合薬には、インシス社が製造した液体THC薬のシンドロスがあります。しかし特許を受けた単一分子のTHCは、全草大麻の代替物としては不十分です。

THCは精神活性作用が高く、不快となる可能性があるにもかかわらず、THC製薬は処方薬としてアメリカ全50州で合法的に入手できます。

CBDはピュアなTHCとは違って、まだ全50州で合法ではありません。しかし、FDAはGWファーマシューティカルズ社の製造した植物から作られた抗発作薬エピディオレックスを認可しようとしているので、CBDはまもなく合法の医薬品となるでしょう。エピディオレックスは、あまり知られていないが強力な抗てんかん特性を持つ少量のカンナビジバリン(CBDV)が含まれたピュアなCBD薬です。

CBD薬の登場が差し迫るとともに、複数の研究開発会社が酵母基質からCBDVなどの単一分子カンナビノイドを採取し始めています。バイオ技術が発展するにつれ、薬剤開発者や薬剤師は数多くの単一分子大麻化合物へのアクセスを得るようになるでしょう。

2.合成カンナビノイド類似体

科学者は研究目的、商用販売および流通向けに植物性カンナビノイドの合成類似化合物を作成しました。THCの合成類似化合物であるナビロンは、化学療法によって誘発する吐き気・嘔吐の治療薬としてイーライ・リリー・アンド・コーポレーション社によって開発されました。

セサメットという商品名で販売されているこの合成カンナビノイドは、カナダやその他国々で慢性的疼痛管理の補助療法として使用されています。ナビロンの臨床試験では、線維筋痛症、パーキンソン病、PTSD関連の悪夢、過敏性腸症候群、多発性硬化症に対する有効性が示唆されました。

研究者は、エンドカンナビノイドシステムの生化学的経路および分子機構を調査するために、さまざまな合成類似化合物を使用しています。そのうちいくつか(WIN55,212-2やCP55,940)は、THCと同じようにCB1、CB2双方のカンナビノイド受容体に結合します。その他実験薬は、2つではなく1つのカンナビノイド受容体のみを標的にします。

カンナビノイド・アゴニストは細胞受容体に結合して、さまざまな生理的過程を調節し、有害な損傷から神経を保護する情報伝達増幅経路を開始させます。カンナビノイド・アンタゴニストは細胞受容体に結合し、シグナル伝達を阻害します。

3.合成カンナビノイド・アンタゴニスト

THCの精神活性効果を仲介するカンナビノイドCB1受容体は、脳ならびに中枢神経系に集まっています。THCがCB1に結合すると、精神が活性化され、また空腹を感じるようになります。科学者はこの「マンチー」と呼ばれる現象を、空腹・満腹を調節する脳部位にあるCB1受容体の刺激に関連している、と確認しました。CB1受容体は活性化されると食欲を誘発し、阻害されると食欲が減退します。

フランスの大手製薬会社サノフィ・アベンティス社が開発した合成CB1アンタゴニスト「SR141716」ははじめ、研究手段として利用され始めました。すなわち、CB1を阻害し、どの機能が変化するか監視することによって、エンドカンナビノイドシステムに関する理解を深めたのです。

完璧な痩せ薬を開発したと考えたサノフィ社の戦略家は、ヨーロッパでSR141716を食欲抑制剤として宣伝しました。しかし「リモナバン」として販売された痩せ薬は、効き目が鈍いことが証明されました。やがて、合成CB1アンタゴニストは、高血圧、吐き気、嘔吐、不安症状、気分変動、うつ、頭痛、発作、睡眠障害、自殺リスクの高まりといった危険な副作用のために、販売停止となりました。

CB1アンタゴニストの失策は少なくとも、正しく機能しているエンドカンナビノイドシステムが優れた健康に不可欠であるという明白な証拠を提供しました。

4.局所制限CB1アゴニスト

人間の脳に最も多く分布するタンパク質受容体であるカンナビノイドCB1受容体は、大麻の気分変容効果を含む多くの神経学的機能に影響します。CB1受容体は、腸神経系、肝臓、腎臓、心臓、その他抹消器官にも発現します。

大手製薬会社の公教要理によると、CB1受容体を刺激すると大きな治療効果を引き起こすことができますが、THCの精神活性性がその医学的実用性を制限します。大手製薬会社は、CB1が仲介する大麻の精神活性化を、医薬品設計士が規制当局による特許合成新薬の承認を勝ち取りたいなら避けるべき有害な副作用である、と定義しています。

そこで製薬研究者は、中枢神経系の外にあるCB1受容体のみを活性化するが、脳血管関門を通過しない局所制限CB1アゴニスト(AZ11713908など)を作り出しました。

局所制限CB1アゴニストは、混乱させるような情動不安または無駄な恍惚感といった副作用を引き起こしません。しかし、そのような化合物でもFDAによって治療上の使用を承認されていません。

5.選択的CB2アゴニスト

科学者は、別のタイプの合成カンナビノイドを懸命に研究しています。それが、CB2受容体が集中している末梢神経系を活性化させる一方で、脳を回避する「選択的CB2アゴニスト」です。CB2受容体は免疫機能、疼痛感覚、炎症を調節します。

CB2受容体は主に脳の外に位置し、精神活性を誘発しないため、選択的にCB2受容体を刺激する合成化合物(HU308や JWH133など)を応用研究することは、精神活性化を起こさず治療する見込みを高めます。

カンナビノイド研究者は、副作用を持たず中毒性のない鎮痛剤という医薬品界の聖杯に目をつけています。CB2受容体に焦点を当てた動物実験は、最初は有望に見えました。

しかしこれまでのところ、十分に挑戦してきたにも関わらず製薬会社は臨床的に有効なCB2選択的化合物を合成化することができていません。イタリア人科学者ジョヴァンニ・アッペンディーノは次のように述べました。「医薬品の発見が海なら、CB2は難破したプロジェクトに囲まれた岩です」

6.水溶性カンナビノイド

植物性カンナビノイドもエンドカンナビノイドも自然な状態は油性で、水に溶けない疎水性物質です。しかしこれらの脂質分子は構造的に変化させることが可能で、治癒効果を失うことなく水溶性に変化させることができます。

科学者は、油性の天然由来カンナビノイドよりも生体利用効率が良く、より強力である可能性を持つ、THCその他カンナビノイドの合成水溶性派生物を作り出す方法を複数開発しました。

最初の水溶性THCは1972年に作られました。後続研究で、水に親和性のあるカンナビノイド派生物はウサギの眼圧を下げられることが分かりました。水溶性カンナビノイド・エステル「O-1057」は、前臨床実験においてTHCよりも強力な鎮痛特性を見せました。

ネット上の販売店は、全ての水溶性CBDはナノエマルジョンであると主張しています。ナノ技術によって届けられるピュアなCBDは、疎水性CBDオイル・エキストラクトと比較して並外れて高い整体利用効率および治療効果を提供すると予想されています。

しかしCBDアイソレートは通常、 治療効果を得るために全草のCBDが豊富な濃縮物よりも多くの投与量が必要となります。そしてこの事実は、主張されているナノエマルジョン単一分子CBDの利点を無効にする可能性があります。

7.アロステリック・カンナビノイド受容体調節因子

脳内のカンナビノイド受容体を直接的かつ徹底的に刺激すると望まれない精神活性効果を引き起こす可能性があるので、科学者はCB1受容体の形を変化させ、THCのような精神活性化を引き起こすことなくCB1受容体がシグナルを伝達する方法に影響する合成化合物を開発しました。アロステリック調節因子として知られるこれらの化合物は、受容体がシグナルを送信する能力を強化または低下させることができます。

「ポジティヴ・アロステリック調節因子」は、アナンダミドおよび2AG(2つの主な内因性カンナビノイド)によるCB1受容体活性化の効力および有効性を向上させ、それによってエンドカンナビノイドシステムの保護効果を増強します。

スコットランドにあるアバディーン大学の科学者らは、疼痛および神経学的疾患を治療するために、CB1のポジティヴ・アロステリック調節因子を合成しました。ヴァージニア・コモンウェルス大学の研究者らが、この実験薬(ZCZ011)をマウスで検査したところ、CB1受容体のアナンダミドに対する反応が強化されたことによって炎症性痛覚が低下しました。

しかしアロステリック効果は生物種間における一貫性がほとんどないため、この分野における薬剤開発を大きく妨げます。

8.エンドカンナビノイド代謝酵素の阻害物質

医療科学者は、カンナビノイド受容体に直接(またはアロステリックに)結合することなくエンドカンナビノイドの調子を強化する合成デザイナーズドラッグの実験をしています。

エンドカンナビノイドのシグナル伝達に関する薬理学的増強は、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)およびモノグリセロールリパーゼ(MAGL)の阻害によって達成できます。これらの異化酵素は脳内に存在する大麻のような分子アナンダミドと2AGをそれぞれ分解します。

簡単に言えば、FAAHとMAGLが少なければ、アナンダミドと2AGが多くなり、結果的に身体中のカンナビノイド受容体の活動が大きくなります。エンドカンナビノイド代謝酵素を間接的に抑制する薬剤はカンナビノイド受容体のシグナル伝達を促進し、合成および植物性CB1アゴニストに関連する鮮明な精神活性効果ではない、ナチュラルな高揚感を引き起こします。

前臨床研究では、エンドカンナビノイドによるシグナル伝達の間接的調節がさまざまな炎症性疾患およびストレス関連疾患に対する治療選択肢となりうることが示されました。FAAHおよびMAGL抑制は、動物モデルにおける疼痛、不安、大腸炎、高血圧、アヘン製剤離脱症状。下痢、関節炎を緩和することが分かりました。

医薬品開発者が合成FAAH抑制剤(URB597など)およびMAGL抑制剤(JZL184など)を調査する一方で、同じ異化酵素を阻害することでエンドカンナビノイドの調子を調節する植物性栄養素をキッチンのスパイス棚に見つけることができます。エンドカンナビノイドシステムと相互作用する料理用香料の一つ、ナツメグは、脳自体が持つ大麻のような分子アナンダミドと2AG両方の分解を阻害します。

9.エンドカンナビノイド再取り込み阻害剤

エンドカンナビノイドの調子を増強するもう一つの方法は、アナンダミドと2AGの再取り込みを遅らせることを伴います。科学者は、脂肪酸結合タンパク質として知られる輸送分子を標的にする再取り込み阻害剤(AM404など)を合成しました。これら膜透過脂肪酸結合タンパク質は、エンドカンナビノイドの細胞内輸送および再取り込みを促進します。

合成再取り込み阻害剤は、これらの重要な輸送分子へのアクセスを阻害することによって、脳のシナプス内のエンドカンナビノイド量を増加させます。その結果、カンナビノイド受容体によるシグナル伝達およびエンドカンナビノイドが誘引する保護効果が増強されます。

THCとCBDもエンドカンナビノイドの再取り込みを阻害します。再取り込みの阻害によってエンドカンナビノイドの調子を強化することは、重要なメカニズムとなる可能性があります。それによって植物性カンナビノイドが、発作や神経変性に対する保護効果やその他多くの健康効果をもたらすからです。

見掛け倒し?

相次ぐ挫折にも関わらず、精神活性化を伴わない治療の可能性はカンナビノイド科学者および薬剤研究者における強迫観念として根強く残っています。

選択的CB2アゴニスト、局所制限CB1アゴニスト、アロステリック調節因子、CB1アンタゴニストおよびその他非恍惚カンナビノイドに関する失敗は、全草相乗効果を断念しながら単一タンパク質受容体を標的とする合成の単分子薬に関する挑戦および制限を強調しています。

合成CBD類似化合物もまた開発中です。製薬開発者は、母分子を微調整し、分子側鎖を除去、追加または編集することによって、植物性CBDよりも強力でより効果的な、販売可能な化合物を作りたいと考えています。

しかし、CBDアイソレートは本質的に全草のCBDが豊富な抽出物よりも優れてはいません。単一分子CBDと全草スペクトラムCBDオイル濃縮物を比較する前臨床研究は、単体のCBDは正確な高用量の時のみ有効である一方で、全草のCBDが豊富な抽出物の方がより広範囲でより安全な治療濃度域を持ち、大幅に低い用量で有効であることを示唆しています。問題のある薬物間相互作用もまた高用量の単一分子 CBDの方が起こる可能性が高いです。

規制政策は、全草大麻薬を差し置いて単一分子薬に特権を与えるべきではありません。これらの薬剤が入手可能となる場合は、技工全草調合薬と合成アイソレートを含む幅広いカンナビノイド系薬剤の選択肢があることが患者にとって最適です。

10.まとめ

私たちの体にとってカンナビノイド成分は、効果的に多くの働きをしてくれることが分かります。体に害がある成分を攻撃してくたり、守ってくれたりと至れり尽くせりな成分であることは間違いありません。そんな結果を考慮し、世界保健機構でもCBD成分を有効なサプリメントであることを承認したのかもしれませんね。

日本ではTHC成分は禁止されているため、CBD成分やそのカンナビノイド成分は効果的に摂取することが可能です。国によっては、CBD成分する禁止するなど未だに厳格な法律が存在する国もあることを考えれば、正直マシかもしれません。

上記の通り、単一のCBD・アイソレートよりも様々なカンナビノイド成分が豊富に含まれているフルスペクトラム(全草スペクトラム)のCBDオイルを摂取することで、
効果を期待できると思います。勿論、CBDアイソレートのみでも様々な臨床実験からも疾患に効果があると報告されていますので、問題はありません。

 

参考:Alternet