カンナビノイド様の成分増加により脆弱X症候群の行動問題を緩和

不安障害や認識欠陥の治療に進歩か

合衆国および欧州での研究により、脳内において天然大麻草のような化学物質を増やすことで、遺伝性の自閉症として一般的に知られている脆弱X症候群による行動障害を緩和できるということが発見された。

脆弱X症候群とは知的障害の中でも唯一遺伝性であることが分かっている疾患である。これはX染色体の異常によるもので、精神発達障害、情緒不安定、注意欠陥障害、多動、自閉症といった障害を持つ。

今回の調査は、不安障害や認識欠陥といった症状を持つ患者への治療を目標とするものである。『ネイチャー・コミュニケーションズ』ウェブサイト上で発表された。

ニューロン間伝達媒体に注目

カリフォルニア大学のダニエル・ピオメッリと、フランスの国立研究所INSERMのオリヴィエ・マンゾーニの先導により研究は行われた。これにより、脳内の線条体および皮質部位に存在する2-AGと呼ばれるカンナビノイド伝達媒体をブロックしている酵素を妨げている合成物の特定に至った。

これらの伝達媒体は、ニューロン間の情報伝達構造であるシナプスの電気信号の送信を行っている。脆弱X症候群の場合、シナプスの伝達運動が局部的に大変限定されてしまうため、行動問題が起こると言われている。

脆弱X症候群は、X染色体のFMR1遺伝子の突然変異により起こる疾患である。この疾患により精神障害が起こり、はいはい歩きや歩行、言語の遅れがみられる。アイコンタクトを避ける傾向がある。機能亢進症であったり、衝動的行動を起こす。細長い顔や偏平足、大きな耳といった身体的特徴を持つ。

更なる研究が必要

研究チームによれば、今回の発見は進歩があるものの、根本的な治療法の発見には至っていないという。

「我々が望んでいるのは、脆弱X症候群の患者が社会的に生活で、正常な認識機能を持つようになることです」
博士はカリフォルニア大学の解剖学および神経生物学の教授であるピオメッリ博士は言う。

本研究は脆弱エックス症候群の徴候があるマウスが使われた。脳細胞において2-AGタンパク質の修正を行う新たな成分を用いて治療が行われた。この実験により、これらマウスは、不安障害や空間認識を計測する迷路試験において、劇的な行動改善を見せたのである。

脆弱X症候群による行動問題に対し薬理学的治療を行った今回の実験を踏まえ、ピオメッリ博士は神経生物学においてエンドカンナビノイドの役割が初めてわかったという点に言及した。