大麻草成分が癌患者の腫瘍増殖を妨げるメカニズムとは?

リックシンプソン大麻オイルで癌が完治したことは欧米で知らない人はいないでしょう。この一連の騒動が大麻草の見方そのものを一気に変える流れとなったことは言うまでもない。それ以前から研究者たちは、大麻草がもつ薬効が医学に役立てられると考えていたし、そのよな研究を行うことを推奨していた。しかし、それは政府の弾圧や製薬会社からの圧力によって実現することはなかったのです。

時代は変わりインターネット・SNSの普及により誰もが大麻草がもつ薬効を知ることが容易になったとも同時に言えると思います。2人に1人が癌を患うこの世の中で、誰もが必死に情報を探していることが言えます。

インターネットの普及がもたらした光景は、誰もが研究データなどを閲覧することが即座にできる世の中になったことです。これは大変素晴らしいことであり、活用しないと損をする世の中の幕開けとも言っていいでしょう。

カンナビノイドと癌についての研究内容を紹介したいと思います。

●カンナビノイド成分の抗腫瘍パワーとは

英国はノーフォーク州にあるイーストアングリア大学。数々の科学者を輩出してきたこの大学で、大麻草成分の研究が進められてきました。

大麻草が含有する精神活性成分がいかにして癌患者の腫瘍の増殖を減らすのか。そのメカニズムについて、本大学の研究者たちが解説しています。

2014年に発刊された雑誌に掲載されたこの研究報告は、以前は謎のままだった伝達作用のプラットフォームの存在を明らかにするものです。このシグナリングプラットフォームは、薬物の腫瘍縮小効果に重要な役割を果たすものとなります。

これらの発見により、近い将来、制癌の特性を有した同様の薬剤の開発が期待されています。

●英国とならびスペインの大学機関も参与

本研究を共同で行ったのが、スペインはマドリードのマドリード・コンプルテンセ大学です。二つの国の大学がタッグを組み、構成されたチームがまず取り掛かったのは、ヒトの乳癌細胞をマウスの腫瘍に用いる実験です。

さらにその腫瘍に対し、大麻草成分のひとつであるテトラヒドロカンナビノールを適用しました。
こうしたプロセスによって、特に二つの細胞受容体が、抗腫瘍効果に重要な役割を果たしていることが判明したのです。

●抗腫瘍特性の詳細が明らかに

イーストアングリア大学の薬学部で教鞭をとるピーター・マコーミック博士が次のように述べています。

「大麻草の主要な成分のひとつであるテトラヒドロカンナビノールには、制癌の特性があります。カンナビノイド受容体と呼ばれる細胞受容体を通して、この成分が活性化されることは、既によく知られていたことでした。ですが、これらの受容体のうちどれがテトラヒドロカンナビノイドの抗腫瘍特性を持っているのかについては、解明されていなかったのです。」

●未知の領域に着手

マウスの腫瘍に、ヒトの乳癌細胞を用いた実験で、その詳細が明らかになってきました。

今回の実験に関する、イーストアングリア大学薬学部のピーター・マコーミック博士は、「テトラヒドロカンナビノールの制癌特性はカンナビノイド受容体を通して、活性化されることは知られていたものの、どの受容体がその特性を有しているかは解明されていなかった」とコメントしています。

●カンナビノイド受容体を特定

マコーミック博士は続けて言及しています。

「今回の実験結果は、2型カンナビノイド受容体(CB2)とGPR55という、ふたつのレセプターの共同の相互作用を通してもたらされていることを、示すものです。我々の発見は、腫瘍の成長や増殖の現象に関し、テトロヒドロカンナビノールの作用でこれまでわからなかった部分を明らかにすることができました。」

癌に関する病理学に大きく影響するであろう今回の研究報告は、大麻草成分の制癌特性の研究発展にも影響を与えると思われます。

●将来の治療法開発に貢献

「関係している受容体を特定することによって、腫瘍の増殖成長を軽減できると分かれば、将来的な治療方法の確立にそれを応用していくことができます。この点において、我々の研究は大きく貢献できたと思っています」

マコーミック博士は、癌患者の安易な自己流治療には警鐘を鳴らしている。

「我々の研究では分離された化学合成物を使っており、集中した処置を行っています。自己流治療で安易に大麻草を使うようなことはよくないと思いますが、我々の研究により近い将来には、お使いいただけるような薬品を開発できればと思います」

本研究については、『生物化学ジャーナル』誌上に掲載されています。

もう一方で広まる天然由来成分

研究者たちが研究に使う合成カンナビノイドを批判する声も実際は存在します。医療大麻を活用している人たちの間では、天然由来のカンナビノイド成分の方が効果が高いという説もあります。あくまでも、個人的なレベルなのですが、合成成分と天然成分とは明らかな違いがあるのか、その点についても研究する余地はあると思います。