マリファナを避けるべき人とは?

もちろん、アルコールと同様、マリファナにもある種のリスクは伴うので、誰もが使用できるわけではありません。

マリファナを使用すると気分が変化し、感情に作用し、一時的に知覚を変容させるので、使用の前は必ず、自分の状態(感情の状態)と場の状態(周囲の環境)によく注意することが重要です。

運転前などの動体視力を必要とする場合や、新しい情報を記憶するなどの学習スキルを必要とする作用の前にはマリファナを摂取すべきではありません。発達中の脳にマリファナがアルコールと同様に悪影響を与えるかどうかははっきりしていないので、思春期の若者もマリファナ使用を当然避けるべきです。

妊娠中の女性も、煙草やアルコールを避けるのと同様にマリファナも避けなければなりません。子どもを作ろうとしている男性もマリファナは避けたべきものです。人間を使った実験ではないが、前臨床試験では、マリファナを大量に摂取すると精子の数と運動性が低くなることがわかっている。

大麻喫煙は精子数を損なうか?

長期にわたる喫煙は通常、喉や喘鳴の増加、そして気管支炎に関連があるとされているので、さまざまな慢性閉塞性疾患(COPD)で悩んでいる人はマリファナを(あるいは何でも)煙として吸い込むのは避けるべきだろう。ただし、煙草の煙と違って、マリファナの煙は気管支拡張剤の役割を果たすので、喘息の人がマリファナを使用しても悪い影響がないこともある。

マリファナの使用は一時的に脈拍を速めることがあるので、高血圧の人や心臓病を患っている人も避けたほうが賢明である。マリファナの日常的使用と、一部C型肝炎患者における肝線維症(組織の過剰生成)および脂肪症の進行との関連を認めた研究があるので、肝臓に深刻な問題がある人はマリファナを常習するのは避けたほうが良い。というデータもある。マリファナがこの病気を患う人の役に立つ可能性があると報告する研究もあることは事実。

いわゆる嗜癖性人格障害を患っている成人も、依存症となる傾向が通常よりも強いので、マリファナは避けたほうがよいかもしれない。とは言え、統計的に言ってマリファナによる薬物依存の症状を示す人よりも、アルコール依存になる人のほうがはるかに多いことは過去の統計からも実証されている。

最後に、決定的とは言えないまでも、精神疾患、鬱病、総合失調症など精神の病を患っている人や、家族にそういう病歴がある人は、マリファナを避けるべきであることを示す根拠がある。マリファナの常習的使用と精神疾患の症状の増加の間に、些細ではあるが関係があることを確認した研究がいくつかあるの
である。関連が見つからなかったとする研究もあるが、マリファナを吸って疾患が悪化することもある。これにはTHC成分が大きく関係していることが示唆されている。

ただし、このデータの解釈は難しい。まず、総合失調症などの精神疾患患者は、どんな薬物でも、薬物を使う人の割合が一般の人たちよりも高い。次に、貧困、家族の歴史、多種の薬物を使用していることなどが、マリファナの使用と精神疾患の間に因果関係があるあどうかを的確に見極めるのを非常に難しくしているのである。

特に、マリファナの使用が広く普及している地域において、マリファナの使用がまれな地域よりも精神疾患の発症率が高いことを示すデータは存在しない。その結果、主張されるようなマリファナと精神疾患の関連性は、仮にあったとしても、患者がマリファナを使って自分で自分を治療している結果なのではないかと多くの専門家が考えている。

そのことを示す調査データや、鬱病が改善したり総合失調症的な行動が抑えられるのを感じている人からの事例報告は、医学会ではごく日常的なものであり、精神疾患のある種の症状の治療にカンナビノイドを使う臨床検査の実施が提言されてもいる。とは言いつつも、遺伝的にこのような疾患に罹りやすい人は、マリファナの使用には慎重であるべきである。

このように医療大麻・マリファナにも当然メリットとデメリットが存在することは事実である。急速に医療大麻に関連する研究や臨床実験が行われているため、昔より医療で使用されるマリファナにも多種多様な製品も開発されている。マリファナの特徴でもあるTHCは気分を高揚させると同時に、不安な気持ちさせるなどの真逆の作用が働くケースがあることから、THCとCBDの比率が改良された製品なども販売されている。

出典:マリファナはなぜ非合法なのか?