大麻中毒に抗肥満薬が効く可能性

イギリスのロンドン大学クイーン・メアリーの研究者が、カンナビノイド中毒の解毒剤を発見したかもしれません。研究結果によって、 命を脅かす可能性もある合成カンナビノイドの中毒効果が無効になる可能性があります。

ますます多くの人が大麻の代替品として合成カンナビノイド、または「合法的な精神活性化」を求めています。

これらの物質は、合成大麻、スパイスK2、ブラック・マンバ、クレイジー・クラウンなどの名前で呼ばれています。

アメリカでは特に若い男性の間で人気を集めている薬物です。

合成カンナビノイドは、大麻よりも安全で無害な代替品だとみなされ、販売されています。しかし国立薬物乱用研究所(NIDA)は、これらの精神活性物質は大麻よりもかなり強力だと警告しています。

実際、合成カンナビノイドの副作用は「予想がつかないことが多く、時には深刻で命が脅かされる可能性もある」とNIDAは警告しています。

合成大麻の使用は、発作や精神病などの副作用が関連づけられています。

さらに、合成カンナビノイドの使用による関連死数は過去数年で3倍になったことが報告されており、疫病対策センター(CDC)は合成カンナビノイドに関して「公衆衛生に対する新たな脅威」であると述べています。

ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー誌に発表された新たな研究では、カンナビノイドおよび合成カンナビノイドの中毒効果を弱める可能性のある方法が調査されました。

研究は、ロンドン大学クイーン・メアリーにあるブリザード機関のギャレス・プライスおよびデヴィッド・ベイカーによって行われました。

大麻中毒、または「精神活性化」する感覚は、CB1受容体が活性化された時に起こるのだ、と研究者は説明します。

合成カンナビノイドは同じ受容体に作用しますが、合成カンナビノイドによる中毒は大麻よりも恐ろしい効果をもたらす可能性があります。

CB1受容体アンタゴニストが中毒を阻害

研修者らは、「CB1受容体アンタゴニストはカンナビノイド中毒の解毒剤として作用することができる」という仮説からスタートしました。

研究では、実験マウスを用いてカンナビノイド中毒に対し、AM251と呼ばれるCB1受容体アンタゴニストの効果を調べました。

マウスは、鎮静、低体温、消化器系の運動低下といった大麻中毒のような効果を誘発させるために、CB1受容体アゴニストつまりカンナビノイド薬を投与されました。

カンナビノイドを投与されたマウスが中毒の兆候を見せてから20分後、マウスは1kgあたり5mgのAM251分子を投与されました。

AM251分子の投与はマウスにおけるカンナビノイドの効果を阻害し、鎮静や低体温を含む中毒の行動兆候を明らかに、そして迅速に軽減しました。

実際、投与から20分後に鎮静状態は大きく軽減され、40分後には低体温も改善されました。

研究者は次のように結論づけています。

「カンナビノイド受容体アンタゴニストは広く使用されているので、カンナビノイド中毒に対する好ましい単回投与の解毒剤となれる可能性があります。カンナビノイド受容体によって命を脅かす効果が仲介され、命が救われる可能性があります」

抗肥満薬が解毒剤として作用

研究結果を考慮すると、リモナバンと呼ばれる痩せ薬が大麻や合成カンナビノイドに伴う中毒に対する解毒剤として作用する可能性がある、と研究者は述べています。

リモナバンは元々、肥満を治療するために開発されました。リモナバンは「選択的CB1エンドカンナビノイド受容体アンタゴニスト」であり、神経精神医学的な副作用のためにその利用と商業開発は中止されました。

しかし研究者らは、命を脅かす可能性があるカンナビノイド中毒を阻害するために、リモナバンを再生産する価値があるかもしれない、と提言しています。

「大麻中毒は通常、人間において致命的ではないが、“スパイス”などの毒性が本当にカンナビノイドによるものであることを確信するには十分なデータがありません」と研究者らは認めています。

この意味でさらなる研究および臨床試験が必要です。