医療大麻を支援するスーパーママたち

医療大麻について書くという仕事の特権の一つは、とても刺激的な人々にインタビューできることです。例えば、子供に必要な大麻系薬剤を手に入れるために、山も、州も、時には法律さえも動かしてしまうような素晴らしい母親たちのような人々です。

この母親たちが成し遂げたことは、母親なら誰もが子供のためにするであろうことです。しかし、彼女たちが勇敢に切り開いた道は、結果として多くの子供や家族の人生を変えてきました。そこで本記事は、断固たる医療大麻戦士のママたちに捧げます。なぜなら彼女たちのおかげで、多くの子供たちが大麻草の治療効果を得ることができるからです。

ペイジ・フィジー

ペイジ・フィジーは、おそらく世界で最も有名なドラベ症候群患者であるシャーロットの母です。ドラベ症候群とは、乳幼児期に発症する稀な難治性てんかんです。幼いシャーロットは1日300回にもなる発作に苦しみ、チューブを通じて栄養を与えられていました。自閉症的な行動も酷く、未来は極めて絶望的でした。コロラド州在住で医療大麻を合法的に入手することができたフィジー家は、スタンレー兄弟を通じてシャーロットにヘンプから抽出されたCBDオイルを与え始めました。オイルがもたらした奇跡のような発作回数の激減に興奮したフィジー家とスタンレー兄弟は、そのCBDオイルを「シャーロッツ・ウェブ」と名付けました。

シャーロットの体験談は、サンジャイ・グプタによるCNNドキュメンタリー「大麻(Weed)」によってアメリカ全土、そして世界へと広まりました。それ以来、ペイジはチャリティー活動「レアルム・オブ・ケアリング」の広報担当として、また支援団体「アクセス・ナウ連盟」の創設者としてよく知られるようになりました。

「ペイジは、アメリカそして世界中でCBDとその恩恵に関する外観や議論を変えました。ペイジは誰よりもCBD治療の可能性を知っています。子供の命のために闘う親として、ペイジはイスラエルで行われていることを調査し、非精神活性のCBDが豊富な大麻草を見つけて、シャーロットの人生を取り戻すためにオイルの抽出法を学んだのです」アクセス・ナウ連盟の創設メンバーで財務担当のジェフ・ウェイリングはそう話しました。

ヴェラ・トゥーメイ

アイルランド人のヴェラ・トゥーメイは、現在最も重要な医療大麻ママです。娘のエイヴァはシャーロットと同じようにドラベ症候群を患っています。数ヶ月前、医師が治療を諦めた時、6歳のエイヴァはシャーロッツ・ウェブを摂取し始めました。

CBDオイルがたった1ヶ月でエイヴァの発作を90%減少させたのを目撃したヴェラは、アイルランドでは医師によってCBDオイルを処方できないことに怒りを感じました。そこでヴェラは、保健相サイモン・ハリスの注意を引くために、地元コークからダブリンまで歩くことにしました。ハリスがヴェラに歩くのをやめるように頼み、ヴェラの要求を話し合うために面会すると約束するまで、長く歩く必要はありませんでした。

1ヶ月後、ヴェラによる証言と社会運動のおかげで、特定の疾患に対して大麻の医療使用を合法化する法案がアイルランド国会で満場一致で可決されました。

ハリス保健相は、ヴェラと面会し、エイヴァの窮状を聞いたことで最終的に姿勢を変え、法案を支持するに至ったことを公言しました。

ジェイニー・メドラー

法律を変えたもう一人の母親はジェイニー・メドラーです。ジェイニーの娘ライリーは、顔にあった良性腫瘍を除去する手術の後から発作を起こし始めました。医療大麻が効くかもしれないと聞いたライリーの両親は、法的に難しい状況に置かれました。メドラー家が住むデラウェア州で医療大麻は合法でしたが、成人のみが使用を認められていたのです。

そこでジェイニーは、ライリーだけでなく、医療大麻を必要とするデラウェア州在住の全ての子供を助けるように法律を変えるために何でもしよう、と決意しました。

ジェイニーは共和党の州上院議員アーニー・ロペスを家に招き、医療大麻を子供にも与えられるようにしてほしいと頼みました。2015年6月、「ライリー法」と呼ばれた上院の法案90が満場一致で可決されました。州議会もそれに続き、州知事も署名して法が発効され、子供も合法的に医療大麻を使用できるようになりました。

ミエコ・へスター-ペレス

次に紹介するのはカリフォルニア州に住むミエコ・へスター-ペレスです。ミエコの息子ジョーイは重い自閉症で、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを患っています。

ミエコは最初、ジョーイが危険なほど低体重だったため高濃度THCの大麻株を与え始めましたが、すぐに大麻が自閉症にも有効な効果を見せ始めたことに気がつきました。

「今、ジョーイは笑えるようになりました」とミエコは語りました。「自閉症の子供を持つ親にとって、目標はとてもシンプルです。そしてその目標の一つは、子供の笑顔を見ることなのです。ジョーイは他者と交流し始めました。おしゃべりはしませんが、冗談が好きな性格であることが分かりました。以前は見えてこなかった性格です」

ミエコは自閉症の子供のために医療大麻の使用を勧めるアドバイザーとなり、アンコンヴェンショナル・ファウンデーション・フォー・オーティズムを設立しました。また、NORMLの大麻科学に関する女性アライアンスならびに科学諮問委員会の役員でもあります。

ミエコは「どの家族も見捨てない」ことを誓っています。毎日の彼女のミッションは、型破りな治療法によって愛する人の生活の質を改善するように家族を手助けすることです。

アビゲイル・ダー

自閉症の息子を持つもう一人の母親も、最近注目を集めています。重い自閉症を患う息子ユーヴァルの母でイスラエル人のアビゲイル・ダーは、息子の攻撃的・自傷的行動に役立つものを見つけようと必死でした。医師が処方した抗精神病薬は病状を悪化させただけでした。

イスラエルでは特定の疾患に対して医療大麻を入手することができますが、これまで自閉症は認定された疾患ではありませんでした。しかしアビゲイルは、特別許可証の元でユーヴァルに医療大麻を与えることに前向きな精神科医を見つけました。

ユーヴァルは劇的な変化を見せました。「まるで魔法のようでした。息子は落ち着きを取り戻し、集中力も出て、笑顔を見せるようになりました。1年間、自傷行為や癇癪を起こすこともありませんでした。私と息子にとって、これは奇跡です」

しかしアビゲイルは、正規の手続きを経ないで息子の治療を続けることに満足できなかったので、自閉症を認定疾患にするための運動を始めました。その運動を通じてアビゲイルは、医療大麻と自閉症に関する臨床試験を始める許可を得た研究科学者アディ・アラン博士に出会いました。

臨床試験の成功の重要性を理解したアビゲイルは、研究に必要な全草の大麻株が十分保証できるようにクラウドファンディングを立ち上げることにしました。

「全草の大麻は、投資者にとって魅力的でないことは分かっています」とアビゲイル。「全草の大麻では、FDAの承認は得られませんし、特許も申請できません。でも今こそ私たちの子供を救える瞬間なのです」

シエラ・リドル

ユタ州に住むシエラ・リドルは、2歳の息子ランドンが白血病であるという、親なら誰もが聞きたくないニュースを聞いた時、迷わずがん科チームの治療プロトコルに従いました。ランドンは化学療法を受け始め、体内のがんを殺すことに成功しました。標準的な指針ではがんが破壊された後も化学療法を続けますが、この時シエラはランドンの病状が悪化していくのに気がついたのです。

「ランドンは化学療法を受けて、体重が50%も落ちました」とシエラは言います。「ランドンは何週間も続けて食べるのを拒否しました。常に痛みを感じていて、その痛みはますます強くなりましたし、話すことも歩くこともできなくなりました。嘔吐はしょっちゅうでしたし、感情的ストレスや髪の抜け毛は言わずもがなです」

必死になったシエラは医療大麻を調べ始め、ランドンが医療大麻カードを入手できるようにするためにコロラド州に移住するという人生を変える一大決心をしました。

しかし、従来の治療法と医療大麻を組み合わせることは苦難の道でした。ランドンが治療を受けていた病院の医療チームは、提案する治療計画に従わなければ法的措置に出る、とシエラを脅しました。しかしその治療計画には化学療法も含まれていました。医療チームは、児童保護サービスにも連絡しました。

最終的にシエラは、経口化学療法の代わりに自宅で大麻オイルをランドンに与えながら、時々病院で化学療法を受けさせ続けました。シエラの決断を知らなかった医師たちは、13ヶ月後に健康になったランドンと未使用の化学療法薬剤の山を見てショックを受けました。以前、医師たちは化学療法を続けなければランドンの余命は3ヶ月だとシエラに伝えていたのです。

シエラはそれ以降、医療大麻に関する認識を高め、またランドンの治療続行の資金を集めるために、チーム・ランドンのウェブサイトを立ち上げました。