アイルランド:医療大麻は特定の疾患のみに適用

先週の金曜日、アイルランド医療製品規制庁(HPRA)が著した医療大麻に関する待望の科学的概説が発表されました。

アイルランド保険相サイモン・ハリスが委託した報告書の調査結果は、アイルランドでどのような医療大麻規制の基盤が導入されるか形成します。

多発性硬化症、化学療法を受けるがん患者、てんかん:可、慢性痛:不可

大麻草の医学的用途の有効性を紛れもなく証明する科学的根拠の欠如が主張されていたにもかかわらず、報告書では限定された疾患への使用を承認しました。

「専門家による医学的監視のもと、全ての標準的治療および介入に抵抗性のある多発性硬化症に関連するけいれん。専門家による医学的監視のもと、標準的な制吐薬の使用が効かない、化学療法に伴う難治性吐き気・嘔吐。専門家による医学的監視のもと、標準的な抗けいれん薬が効かない深刻な難治性(治療抵抗性)てんかん」

資格を認定された疾患から明らかに除外されたのは慢性痛です。HPRAによると、これは慢性痛症候群の複雑性および多様性に起因します。また、すでに十分な治療選択肢が存在すること、ならびに潜在的に医療大麻を使用する膨大な数の慢性痛患者が周りのコミュニティーにおける乱用・娯楽使用に関する懸念を想起することも示唆されました。

ウィックロー州に住む慢性痛患者ジョー・アレンは、指定の変更を懇願しています。「私は、承認疾患リストから慢性痛を公然と除外したことについてあきれています」とジョー。「もちろん私は、この報告書が助けとなる人々に対しては喜びを感じています。しかし、日々慢性痛と戦っている一個人として大きな落胆と怒りを感じています」

勧告を実践へ

どのように勧告を実行するかという困難な任務が、次の課題です。報告書では、国民健康保険内で合法的に医療大麻を用いた治療をできる資格認定疾患を持つ患者を認可する、5年間の試験的なプログラムが提案されています。

しかし報告書はアクセスについて次のような条件を要求しています。

「患者の監視および経過観察に責任を負う、関連疾患の専門知識を持った医師の保護下にある患者のみがアクセスを得られます。また、医学的必要性が満たされていないと定義される病状がある場合、従来の治療法が非効果的または不適応である場合、大麻が有効である可能性を示す科学データがある場合も同様です」

報告書ではTHCと非精神活性カンナビノイドのカンナビジオール(CBD)を含む製剤を区別していますが、公認の医療大麻薬のみが処方されます。CBDは規制医薬品であると考えられていないので、今後も栄養補助食品として入手可能であるとされています。

てんかんの子供を持つ母は研究結果に満足

熱心なアイルランド人医療大麻活動家のヴェラ・トゥーメイは、CBDオイルを摂り始める前は1日に何度も発作を起こしていた7歳の娘エイヴァの母親です。

「私たちはHPRAによる報告書の発表を嬉しく思いますし、この進歩を歓迎しています。今後TDS(アイルランド国会議員)が協力して、必要な法改正を実行し、パーキンソン病、自閉症、がん、関節炎/慢性痛患者に対して疾患を治療し、症状や痛みを抑制する医療大麻にアクセスする機会を認めるために尽力することを願っています」

「医療大麻は私の娘を自由にし、より自由な新しい人生を歩むことを可能にしてくれました。娘は毎日改善しており、発作は90%以上減りました。私は、誰もが医療大麻という選択肢を選ぶ権利がある、と信じています」ハリス保健相は、調査結果に満足しているようです。「この報告書が、この分野における政策の開発における重要な出来事となることを信じています」とハリス保健相。「これは私が改善したかったが、最良の臨床的アドバイスに基づいて進展させる義務があると感じていたことです」