CBD・カンナビジオールと線維筋痛症の関係性

カンナビジオール(CBD)と線維筋痛症

線維筋痛症は、痛みを伝える神経を活性化させて、脳での痛みの感じ方に影響を与えるために、痛みの感じ方が異常に強くなります。
肩、首、腕、背中、腰、脚など、特に敏感に痛みを感じる圧痛点が存在することが特徴であり、これらの領域では、弱く触れただけで痛みを伴います。
体全体におよぶ慢性の疼痛に加えて、疲労・倦怠感、睡眠障害、頭痛、不安感、抑うつなどの症状が幅広くみられます。

線維筋痛症の原因は不明ですが、研究者らは、線維筋痛症は、感染症、けが、精神的なストレスが発症の引き金になっていると考えています。
また、関節リウマチなどの他の疾患と同様に、遺伝が発症のリスクに関与しています。

CBDは線維筋痛症にどのような効果を与えるか

CBDは、線維筋痛症患者の痛みのコントロールを助けます。
CBDはカンナビノイド受容体の一つであるCB2受容体に結合し活性化させます。
CB2受容体は、中枢神経系を抑制するオピエート受容体を刺激して疼痛伝達物質の放出を抑制するので、これにより、鎮痛効果をもたらし、痛みを軽減させます。
CBDはまた、精神的健康や体調を改善することが示されており、この線維筋痛症による、精神的な問題や睡眠障害などの問題の改善も助けます。

CBDおよび線維筋痛症の研究

CBDと線維筋痛症の痛みの軽減との関係を示した研究の一部をご紹介します。

論文1
線維筋痛症患者のカンナビス(大麻)使用:症状の緩和や健康関連のQOLに対する効果
Fiz J, Durán M, Capellà D, Carbonell J, Farré M.
PLoS One. 2011 Apr 21;6(4):e18440.

この研究では、線維筋痛症患者について、カンナビス(大麻)使用の有無による生活の質の違いを比較しました。
VASスコアを用いて痛みの強さを評価した実験では、CBDを摂取することで有意に痛みやこわばりが減少し、痛みが緩和されて、睡眠や快適な感情が増加したことを示しました。
また、CBDを摂取することで、メンタルヘルス(精神衛生)に関する総合的なスコアが有意に高くなりました。
このことから、この論文では、カンナビス(大麻)の使用は、線維筋痛症に対して有益な効果をもたらす可能性があると述べています。

論文2
急性および慢性疼痛の発症の制御のための、痛みのコントロールおよび治療的意義におけるカンナビノイドシステムの役割
Manzanares J, Julian M, Carrascosa A.
Curr Neuropharmacol. 2006 Jul;4(3):239-57.

*この論文では、カンナビノイド受容体を活性化させる物質について、急性および慢性の疼痛の発症の軽減を示している過去の研究を概説しています。

カンナビノイドシステムでは、カンナビノイド受容体が活性化されることにより、炎症誘発分子の放出を阻害し、鎮痛に影響を与える他のシステムと相乗効果を示すことが明らかにされています。
そのため、カンナビノイド受容体を刺激する物質が、多くの場合治療できない炎症性および神経障害性の疼痛に対して、治療的価値を示し、新規の薬物設計のための材料として注目されています。

これまでに行われてきた前臨床研究および臨床研究は、急性または慢性の痛みに関連するものを含めて、カンナビノイドが多様な疾患の治療に有用な結果をもたらすことを示唆しています。

論文3
非癌性の慢性疼痛の治療のためのカンナビノイド;ランダム試験の系統的レビュー
Mary E Lynch and Fiona Campbell
Br J Clin Pharmacol. 2011 Nov; 72(5): 735–744.

*非癌性の慢性疼痛として、神経因性疼痛、線維筋痛症、関節リウマチ、および混合慢性疼痛があります。
この論文では、非癌性の慢性疼痛とCBDに関する過去の研究を系統的に調査しています。

全体的に、品質が優れている研究論文が多くみられましたが、その中で選択基準に合致した18の論文を詳細に検討した結果、そのうちの15の論文でカンナビノイドで有意な鎮痛効果を示しており、さらに、いくつかの論文では、睡眠が大幅に改善したことを報告しています。
重篤な有害作用は認められませんでした。