CBD・カンナビジオールと精神不安の関係性

カンナビジオール(CBD)と不安の緩和

不安を感じることは、生存のために必要な機構ですが、常に不安を感じている場合には、生活が制限されます。
不安および不安障害を伴う生活は、毎日が戦いです。
単純な作業や決定に対しても極端に困難を感じてしまい、心は悲惨な考えや悩みで常に騒然としています。
集中しようとしても混乱してしまいます。
社会的な関係は恐怖で満たされており、すべてが、ひどく間違って進行しているという、強迫観念があります。

米国では40万人の人々が不安障害に苦しんでいます。
不安は、全般性不安障害(GAD)、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社交不安障害、恐怖障害、パニック障害などを含む、多くの形態があります。
そのため、不安が、米国で第1位の行動的健康問題となっています(アメリカ不安と抑うつ協会;ADAA)。
不安障害は、患者が自身の能力を十分に発揮することを妨げ、効果に大きな損害を与えます。
さらに、長期の不安は身体のシステムを緊張させ、長期的には、身体の健康を損ないます。

どのようにCBDが不安に影響するか

長期間にわたり、カンナビジオール(CBD)が抗不安特性を有することについては、疑問視されてきました。
しかし、研究者は、CBD摂取が、感情処理、動機、自己コントロールの役割を果たす傍辺縁系皮質の領域において、脳への血流の減少に関連していることを見出しました。

不安は、ストレス、心配、恐れに対する正常な反応であるが、非常に強い不安や、長引く、あるいは状況にそぐわない極端な不安は不安障害と呼ばれます。
不安障害になると、発汗、息切れ、めまい、心拍数増加、震えなどの症状が現れたり、特定の状況を避けたりする行動を起こします。
一般的に5%~7%が不安障害を抱えており、障害に少なくとも一回不安障害を発症する人の割合は29%と推定されています。

臨床実験では、ビデオカメラの前でスピーチをする方法で行われ、主観的な不安が増加するかどうかの手順で実施しました。
結果は、CBDと2つの抗不安薬(ジアゼパム、イブサピロン)の両方とも不安が減衰したと報告されています。

ブラジルのサンパウロ大学によって、社会不安症がの患者に対し、公共でのスピーチテスト法によるCBDの効果が研究されました。
健常者12名、社会的不安障害の患者にCBDを600mg単回投与した12名、プラセボを投与した12名で、二重盲検法によって行われました。
CBDを投与した社会的不安障害の患者は、認知機能障害、不快、不安が著しく減少し、予測されたスピーチの失敗が減少したという報告がされています。
この研究では、同グループの先行研究で、社会不安障害の患者のうち10名が改善を確認されています。

カンナビノイド種類 : CBD
作用機序 : CB1,CB2

CBDと自閉症スペクトラムに関する研究

自閉症スペクトラムは、言葉の発達の遅れ、対人関係、社会性の障害、パターン化した行動、こだわりを持った先天的要素が強い発達障害です。
精神障害の診断基準DSM-5からは、自閉症スペクトラムという名称になり、健常者と自閉症の軽症の人は、連続的な直線上に並んでいるという概念となりました。
正常と異常の境界は曖昧であり、軽症から重症までスペクトラム(連続体)です。

ニューロン(神経細胞)の内因性カンナビノイドのシグナル伝達が存在しないことが、自閉症スペクトラムの一般的な遺伝的原因である脆弱X症候群に伴う行動異常と神経生理学的異常の一因であることが判明しています。
内因性カンナビノイドは、食欲、気分、痛みの感覚、思考、記憶などの働きを調整している源です。
これらが欠如(カンナビノイド欠乏症)として生まれた子供たちにとって、外部からのカンナビノイド摂取は、非常に有効な治療方法になることが予想されます。
カルフォルニア大学では、自閉症スペクトラム治療のために内因性カンナビノイドに着目して2013年から研究を進めています。

カンナビノイド種類 : CBD
作用機序 : CB1,CB2,PPAR

CBDと不安に関する研究

ここでは、それらの研究の中で、代表的なものをご紹介します。

論文1
局所脳血流量に対するカンナビジオール(CBD)の影響
Crippa JA1, Zuardi AW, Garrido GE, Wichert-Ana L, Guarnieri R, Ferrari L, Azevedo-Marques PM, Hallak JE, McGuire PK, Filho Busatto G.
Neuropsychopharmacology. 2004 Feb;29(2):417-26.

*動物およびヒトの研究により、カンナビジオール(CBD)が抗不安特性を持つ可能性が示唆されていますが、これらの効果が、どのように一元的に媒介されているのかについては明らかになっていません。
本研究の目的は、このことに関して、機能的神経イメージを用いて調査することでした。10人の健康な男性ボランティアを、ランダムに5人の被験者の2つのグループに分け、(99m)Tc-ECD SPECTを用いて、安静時の局所脳血流量(rCBF)を測定しました。

各被験者について、1週間間隔で二度、測定を行いました。
最初のセッションでは、被験者は二重盲検手順で、CBD(400 mg)、またはプラセボの経口投与を与えられました。SPECT画像は、薬物摂取後90分に取得しました。
主観的気分の状態を評価するために視覚的アナログスケールが適用されました。

第二セッションでは、1回目のセッションで投与されていない薬剤を使用して同様に行われました。
条件の違いによる被験者内でのrCBFを統計的パラメトリックマッピング(SPM)で比較したところ、プラセボ投与は有意な変化を誘導しなかったのに対し、CBD投与は大幅に主観的な不安を減少させ、精神的な鎮静を増加させました。
CBDの抗不安効果があった脳領域の測定により、有意にECDの取り込みが減少していることを示す2つの3次元のクラスターを予測できました。

本研究の結果では、CBDは、有意に主観的な不安を減少させ、精神の鎮静を高めました。これらの結果は、CBDは、抗不安特性を有しており、その効果は、大脳辺縁系と傍辺縁系領域への作用によって媒介されることを示唆しています。

論文2
カンナビジオールは、治療未経験の社会恐怖の患者における、模擬演説によって誘発される不安を減少させる
Bergamaschi MM1, Queiroz RH, Chagas MH, de Oliveira DC, De Martinis BS, Kapczinski F, Quevedo J, Roesler R, Schröder N, Nardi AE, Martín-Santos R, Hallak JE, Zuardi AW, Crippa JA.
Neuropsychopharmacology. 2011 May;36(6):1219-26.

*一般的な社会不安障害(SAD)は、社会生活の中で障害となる、最も一般的な不安条件の一つです。
カンナビスサティバ植物の主要な非精神性化合物であるカンナビジオール(CBD)は、ヒトおよび動物において抗不安作用を示すことが知られています。

それぞれ12人ずつの、健康な対照(HC)の患者とCBDまたはプラセボの単回投与を受けた治療経験のないSAD患者において、模擬演説テスト(SPST)の効果を比較することを目的として、予備的研究を行いました。
視覚的アナログ気分スケール(VAMS)、負の自己ステートメントスケール(SPSS-N)および生理学的尺度(血圧、心拍数、皮膚コンダクタンス)における主観的評価は、SPST中の6つの異なる時点で測定しました。

その結果、事前にCBDを投与することにより、スピーチの実行の際の不安、認知障害、および不快感を著しく低減させ、スピーチの予測に対する警戒を有意に減少させました。
VAMSの評価では、対照群と比較した場合、プラセボ群で、不安、認知障害、不快感、および警告に関して高いレベルを示しました。
SPSS-Nのスコアまたは認知障害、不快感、およびVANSの警告の要因において、CBDとHCの間で有意差は見られませんでした。
SADの被験者におけるSPSTによって誘発される不安の増加は、CBDの使用により減少し、 HCと同様の応答が得られました。