CBDユーザーマニュアル:最も薬効のある大麻成分について知るべきこと

THCは人を酩酊状態にさせる成分ですが、CBD(カンナビジオール)は人をもっと良くする成分です。2009年、アメリカの大麻穀倉地帯であり、認定を受けた患者が合法的に医療大麻にアクセスできるカリフォルニア州北部で、CBDを豊富に含む少数の大麻株が偶然発見されました。そこから、民主主義的に、CBDを豊富に含む大麻の治療法に関わる大規模な研究所実験が始まりました。

根本的な治療選択としての全草CBDが豊富なオイルの出現は、大麻に関する全国の議論を変えました。もう医療大麻は効くのかどうか、という問題ではありません。現在、重要な問題は、最大限の治療的効果を得るためにどのように大麻をつかうべきか、ということなのです。しかし医療専門家のほとんどは、この分野における経験があまりありません。そこでProjectCBDが、カンナビジオールおよび大麻治療法に関する重要な問題に取り組んだ患者のためのCBDユーザーマニュアルを作成しました。

CBDとは何か?

カンナビジオール、またはCBDは、膨大な治療可能性を持つ、大麻草の非中毒成分です。CBDはTHCのように人を酩酊状態にさせませんが、科学者、医療専門家、そして慢性痛、がん、クローン病、糖尿病、リウマチ性関節炎、PTSD、心疾患、不安障害、対抗生物質感染症、多発性硬化症、統合失調症その他を含む広範囲の病気を治療するためにCBDが豊富な製品を使用している医療大麻患者の間でかなりの話題を巻き起こしています。

アメリカやその他の国々の研究センターは現在、上記およびその他の病気におけるCBDの効果を研究しています。科学者はCBDのことを“見境のない”化合物だと呼んでいます。CBDが、深いレベルで私たちがどのように生理的・生物的に機能するのかを活用しながあら、さまざまな方面から治療的有用性を与えるからです。

膨大な前臨床調査および一部の臨床研究で、CBDが強力な抗酸化、抗炎症、抗けいれん、抗うつ、抗精神病、抗腫瘍および神経保護作用を持つことが分かっています。カンナビジオールは遺伝子発現を変え、脳採苗からアルツハイマー病の特徴であるβアミロイド斑を除去することができるのです。

CBDとTHC、どちらが良い?

カンナビジオールとTHC(ハイを作り出す)は、大麻治療におけるパワーカップルです。つまりこの2つは相互作用することで最高の効果を生み出します。CBDとTHCは相乗的に相互作用し、互いの治療効果を高めます。CBDはTHCの鎮痛および抗がん作用を強化する一方で、THCの精神活性性を弱めます。CBDはまたTHCが多すぎるときに表れる、不安や頻拍などの副作用を軽減します。

同じ大麻株または製品の中に双方の化合物が十分な量含まれているとき。CBDはTHCによるハイの規模を小さくし、一方でその時間を長引かせます。(「リラックスできるけど中毒ではない」と、ある患者はCBDが豊富な大麻について述べました)CBDがあることで、THCが優勢な治療薬にはあまり反応が良くないことがある肝臓、心臓血管および代謝疾患など、大麻で治療できる症状の幅が広がります。

CBDとTHCはどちらも成人の哺乳類において、新しい脳細胞の生成、すなわちニューロン新生を刺激します。

CBDを摂取するのに最適な方法は?

CBDが豊富な大麻の最も適切な配送システムは、望ましい継続期間にわたり適量を提供し、望まない副作用(アレルギー症状)がわずかなものです。喫煙または気化用のCBDが豊富なヘンプ品種は多くの医療大麻薬局で手に入りますが、CBDを求める患者の大半は、CBDオイルの濃縮物でできた吸引タイプではない製品を好みます。

連邦法によって禁止されていますが、強力なCBDを豊富に含む大麻治療薬の測定可能な投与量は多くの非喫煙形式で手に入れることができ、さまざまなやり方で使用することができます。効果の開始時間および継続時間は投与方法によって異なります。

CBDが豊富なCBDオイル製品は、舌下、経口(例:食品、のど飴、飲物、チンキ剤、ジェルカプセルなど)で摂取、または局所的に塗布することができます。濃縮されたCBDオイルの抽出液は、ペン型電子タバコ(vape pen)で加熱し、吸引することもできます。

吸引は、応急手当が必要とされる急性症状の治療に優れています。1分以内に効果が表れ、通常数時間にわたって続くからです。経口投与したCBDが豊富な大麻オイルの効果は4時間またはそれ以上続きますが、効果の開始時間は吸引よりずっと遅いです(30〜90分)。

CBDはてんかんを治せる?

ヘンプは数千年におよぶ、発作およびけいれんの抑制薬としての豊かな歴史を持ちます。19世紀半ば、米国薬局方は小児期てんかんの治療薬としてヘンプのチンキ剤を記載していましたし、その後の科学的研究ではCBD、THCおよび大麻全草の抗けいれん効果が実証されています。

CBDが優勢/THCが少ない大麻株およびオイル抽出液は、難治性発作性疾患を患う子供において劇的な改善を促進することができます。

CBDオイル製品を投与された深刻な小児期てんかん患者の10〜15%は、ほぼ完全に発作が出なくなったのを体験しています。大半は改善します(完全な発作の除去ではないが発作回数の減少)が、一部の子供においてはCBDの摂取によって発作が悪化します。てんかんの子供を持つ両親の多くは発作を抑えるのを助けるために、CBDが豊富なオイルに少しTHCを加えたり、生の大麻花および葉に含まれるTHCの加熱されていない、精神作用しない形態THCAを加えたり、試行錯誤を繰り返して学んでいます。

覚えておいてほしいことは、低濃度THCヘンプオイルは誰にでも効くわけではありません。全年齢の患者は、高濃度CBDオイルだけでなく広範囲な大麻全草治療薬にアクセスできる必要があります。

自分にとって適正なCBD:THCの割合とは?

大麻治療はオーダーメイド医療です。誰もに適している割合、株、または製品はありません。自分にとって最適なCBDとTHCの適切な組み合わせを見つけて、大麻の治療的使用を最適化してください。THCに対する感受性が、CBDを豊富に含む薬の適切な割合および投与量を決める重要な要因です。

多くの人が大麻によるハイを楽しみ、またハイになり過ぎたり不快になったりすることなくかなりの量のその他大麻製品を摂取することができます。それ以外の人にとってTHCは不快なものです。CBDはTHCの酔わせるような効果を軽減または中和することができます。したがって、THCに対するCBDの割合が大きければ大きいほど、ハイにならないことを意味します。医療大麻法を持つ一部の州では、さまざまなCBD:THCの割合の大麻オイル抽出液および他の製品が入手できるので、ユーザーは自分のニーズや感受性に合わせて精神活性効果を調節または最小化することができます。

THCが好きじゃない人は、THCを微量しか含まないCBDが豊富な治療薬を使用して、ハイになることなく治療する選択肢があります。しかし、低濃度THC治療薬は酔わせる効果はありませんが、最も有効な治療の選択であるとは限りません。実際の目的は、個人が心地よいと感じる限りのTHCを含むCBDが豊富な治療薬を一貫性のある測定可能な投与量で投与することです。

異なる症状には特定のCBD:THCの割合の方が効く?

あるパターンが表れ始めています。不安障害、うつ病、けいれん、精神病、発作性疾患に関しては、多くの人が微量のTHCを含むCBDが豊富な治療薬を少量から摂り始めることがよく効いたと報告しています。がん、自閉症、その他多くの疾患に関しては、CBDとTHCの平衡的な割合の方がより効果があったという人もいます。アメリカ国外で実施された多くの臨床試験で、1:1のCBD:THCの割合が神経障害痛に有効であることが示されています。

一部の人は、1日の時間帯によって異なるCBD:THCの割合をもつ大麻製品を使用しています(昼間はTHCを多く、夜は CBDを多く)。ほぼどの大麻株または製品も理論的には、広範囲の自己免疫性および炎症性疾患に効果をもたらす可能性があります。なぜならTHCおよびその他の大麻化合物は、免疫機能を管理するCB2カンナビノイド受容体を活性化するからです。
注意:CBD:THCの割合は、その大麻製品または株に含まれるCBDまたはTHC量を示すものではありません。

CBDの最適用量は?

効果的な投与量は、ほんの数mgから1gまたはそれ以上まで変動することがあります。特にもし大麻の経験があまり、もしくは全くない人の場合は、高濃度CBD/低濃度THCオイルを少量から始めてください。1度に大量に摂るよりは、1日かけて少量を摂取しましょう。

同じ投与量および割合を数日間続けてください。効果を観察し、必要なら割合または投与量を調節してください。やり過ぎないでください。大麻化合物は、同じ物質が低濃度と高濃度で真逆の効果を生み出すことを意味する、二相特性を持っています。

少量の大麻は刺激し、大量の場合は鎮静する傾向があります。致死量でないにしても多すぎるTHCは、不安および気分障害を増幅させることがあります。CBDの副作用は知られていませんが、過度な量のCBDは中等度のCBDより治療的効果が少ない可能性があります。大麻治療に関しては、「少ないほど豊かである」であることが多いのです。

CBDが豊富な製品を選ぶときに気をつけるべきことは?

1投与あたりのCBDとTHCの分量および割合、製造日、バッチ番号(品質管理のため)がラベルに明記された製品を選んでください。質の良い成分を持つ製品を選びましょう。すなわち、コーンシロップ、トランス脂肪酸、GMO、人工添加物、希釈剤、保存料が含まれないCBDが豊富な製品であること、カビ、最近、農薬、溶剤残留物、その他汚染物質が含まれていないことが立証され、その一貫性が臨床検査されていなければなりません。

BHO、プロパン、ヘキサン、またはその他炭化水素などの有毒な溶剤を使用して抽出されている製品は避けるのが最適です。超臨界二酸化炭素または食品グレードのエタノールなど、より安全な抽出方法を使用した製品を選びましょう。

CBDがそんなに良いなら、純粋なCBDはもっと優れているのでは?

単一分子のCBDは必ず、連邦政府によって大手製薬会社が扱う薬として承認されるでしょう。工業ヘンプから派生し、広く精製された純度の高いCBD分離株を注入した製品は、すでに未規制のネットショップによって販売されています。しかし単一分子のCBDは、全草のCBDが豊富にオイル抽出液より治療的効果は小さいです。科学研究では医療大麻が合法の州の患者のなかで、合成の単一分子CBDの治療域が非常に狭く、有効であるために正確な高用量を必要する一方、全草のCBDが豊富な治療法は低用量で多くの疾患に効果を示すことを立証してきました。

大手製薬会社の研究所で合成されたか、工業ヘンプから派生したかにかかわらず、単一分子のCBDには、樹脂が多い大麻株に含まれる重要な第2のカンナビノイドおよびその他薬効のある化合物が欠けています。これらの化合物はCBDおよびTHCと相互作用し、その治療的効果を高めます。科学者はこれをアントラージュ効果と呼んでいます。数多くの大麻化合物が薬効特質を持ちますが、全草大麻の治療的影響は部分の集合よりも大きいのです。

ヘンプから派生したCBDと大麻から派生したCBDの違いは?

医療大麻が合法で入手可能な州に住んでいるなら、医療大麻薬局で販売されている(樹脂が少ない工業ヘンプよりは)樹脂が多い大麻から作られたCBD製品を見つけてください。さまざまな品質のヘンプ派生CBDが注入された製品も、数多のネットショップで入手可能です。

全草のCBDが豊富な大麻と比較して、工業ヘンプは通常カンナビノイド含有量が少ないです。少量のCBDを抽出するのに大量のヘンプが必要となるので、汚染物質のリスクも高まります。何故ならヘンプは生体蓄積物であり、土壌から毒素を吸収するからです。

汚染された生態系の復元に関しては素晴らしい特質ですが、医薬品オイルの抽出には勧められません。厳しく精製されたCBDまたはテルペンが含まれないCBDパウダーは、CBDが豊富なオイル製品の形成に関して不十分な開始素材です。FDAはいわゆるCBD“大麻オイル”を大量に検査し、その多くがCBDを全く、または微量しか含まなかったことを発見しました。CBDが含まれた栄養補助食品はサプリメントとしてFDAに承認されていませんし、全50州において合法でもありません。しかし全般的に、各州間のCBD商業は邦当局によって容認されています。

ペン型電子タバコからのヘンプCBDオイルの蒸気を吸引するのは安全?

多くの大麻またはヘンプから派生したヴェポライザーCBDオイル製品は、ユーザーによって加熱・吸引されるオイルを薄める希釈剤を含んでいます。プロピレン・グリコールを含むヴェイプオイルには気をつけてください。

2015年にNew England Journal of Medicine誌に掲載された報告によると、プロピレン・グリコールは加熱され過ぎると、副産物として発がん物質であるホルムアルデヒドを生成します。なぜこれほど多くのヴェポライザーCBDオイル製品に希釈剤を含むのでしょうか?それは、これらの未規制大麻オイル製品が作られている抽出素材の品質が怪しいものだからです。ただし、第三者機関などで品質テストをしている製品は安全だと言えます。

CBDに副作用はある?薬物間相互作用は?

CBDは非常に安全な物質ですが、他の薬も服用している患者は薬物間相互作用に関して医師に確認するべきです。薬物間相互作用は単一分子のCBD製品を高用量摂取している場合に起こる傾向があります。十分な投与量でCBDは シトクロムP450酵素を一時的に不活性化し、THCを含む広範囲の化合物を代謝する方法を変えます。シトクロムP450酵素は大手製薬会社の薬の60%以上を代謝します。

CBDはグレープフルーツ化合物ベルガプテンよりも強力なシトクロムP450の抑制剤なので、自分の薬がグレープフルーツと相互作用するか医師に確認してください。グレープフルーツが相互作用するなら、CBDもおそらく同様です。CBDを豊富に含む治療薬を服用する患者は処方薬の血中濃度の変動を監視し、必要であれば投与量を調整するべきです。

大手製薬会社は大麻の成人使用が合法化された際に、CBD市場を管理するでしょうか?

私たちがそうさせるならそうするでしょう。大麻は薬効のあるハーブであり、調剤またはストリートドラッグとしてではなく、ハーブとして規制されるべきなのです。

*ProjectCBDは、カンナビジオールおよびその他大麻化合物の医学的利用の研究を推奨することに全力を尽くす、カリフォルニア州に拠点を置くNPOです。私たちは医師、患者、業界専門家、一般人に対して教育的サービスを提供しています。

出典:Alternet