イスラエルが大麻使用を非犯罪化

イスラエルにおける大麻の非犯罪化が意味するもの

1月19日ドイツ連邦議会下院による医療大麻使用を健康保険制度と総合する満場一致の決断に続き、イスラエルが合法化議論をさらに前へ推し進め続けています。イスラエルの法務省が大麻の使用を非犯罪化することを提言しました。これはイスラエルが今年中にウルグアイやカナダのようになるという意味ではありませんが、代わりに嗜好用大麻の使用は行政処分により罰金を課される、または処罰を受けることを意味するものではあります。

言い換えれば、イスラエルは医療大麻の使用を完全に合法化したのです。この政策はまだ内閣の承認を必要としますが、ドイツ連邦議会下院の投票と同じように順調に進むと考えられており、おそらく同じ期間に起こるでしょう。

予期せぬ動きではなかった

イスラエルの大麻業界はかなり前から国際シーンに参入する準備ができていました。大麻ビジネスニュースサイトCannabisFNの社長フランク・レーンは次のように言います。

「イスラエルはいつも大麻業界の最先端でしたから、大麻を非犯罪化する最初の国々の一つであることは驚くにあたりません。最近のドイツにおける医療大麻を合法化する連邦議会の決断を考えると、タイミングは確かに興味深いです。この2つの決断は、西洋諸国でより寛大な大麻政策に向かう現在の動きを象徴しています」

カナダから乾燥大麻花を輸入することを最初に認可されたドイツ企業、メドキャンGmbH社CEOのピエール・デブス博士は、どんなに重要であろうと、タイミングは「むしろ予期された偶然だ」と同意しています。

国内では昨年から、市場が現実的に拡大しつつあるという兆候が出ていました。医師および患者は、面倒な処方ルーティーンや手順から解放されました。全国的薬局チェーンは、大規模なメインストリームでの医療的流通に関して政府との議論を検討しています。イスラエル政府は大麻技術だけでなく、潜在的に大麻自体を輸出しようとしている、という兆候すらありました。

本当の意味で直接的にこれが意味しているのは、ドイツおよびイスラエルにおける、そして波及効果でオーストラリアやカナダにおける大麻企業家精神に対して、非常に大きく、直接的な後押しがあったということです。大麻業界のトップ顧問会社であるElectrum Partners社の創設者レスリー・ボクスカーはこう話しています。

「このように、イスラエルが今大麻輸出を熟慮しているなか、これより重大なことはありません。非犯罪化は、法令および完全な合法化への重大な一歩になりそうです。最初は医療使用だけだったとしても、成人による使用が後に続くでしょう。他国もその流れをすぐ追うでしょう」

とは言うものの、このような海外における発展は必ずしもアメリカにおけるさらなる改革の推進に直接的な影響を及ぼしません。特にカリフォルニア州の大麻および技術市場の影響を考えると、アメリカは蚊帳の外でありませんが、これは大麻業界がアメリカの国境からはるか離れたところにあることを意味します。さらに、重要な分野でアメリカは、その連邦政府による大麻の薬物指定により遅れをとるでしょう。

メディシン・マン社CEO、アンディ・ウィリアムズは言います。

「他国が法改正を行うなか、アメリカ市場は革新において影が薄くなる可能性があります。連邦政府による障害がある限り、職、研究、経済成長ならびに新しい機会がアメリカに残る代わりに海外へ流出するでしょう。私の考えでは、これが我が国の法律を変える多大な圧力を増大させます」

とは言え、この見方は国際業界において同一ではありません。例えばデブスは賛同していません。

「イスラエルの大麻政策がアメリカやDEAに影響を与えるとは思いません。規制当局の視点からみて、イスラエルがアメリカに及ぼしそうな影響は最小限です。麻薬に関する単一条約に対する熟慮された改正が根付き始めれば、大きな効果が見られそうなのは、国際連合のような国際的な基盤においてです」

<h4>予期された流行

現在4つの西洋諸国が医療大麻協定および法的規制の作成・一本化、ならびにこのプロセスを促進する企業のサポートを行うために大きく動いています。その影響は、大麻業界の企業家、特に科学・技術分野においてはプラスでしかありません。これは、グローテック、保険テクノロジーおよびその他テクノロジー企業が、活気のある、管理された市場が繁栄するために必要なツールおよびコミュニテイを作り始めることを意味します。アメリカ人がよく知っているように、科学的R&Dのサポートは言うまでもありません。

連邦レベルの点からだけでも、カリフォルニア州の現在の法的環境を考えると、これが最終的に意味するのは、このような企業をサポートするアメリカ国外の国会が、現在はるかに確固とした投資機会を作っているということです。そして究極的にはそれこそが、市場が本当に必要としていることなのです。

連邦政府問題を迅速に解決するためにアメリカの大麻企業家の意思を強固にすることができるでしょうか?もちろん確かに問題はないはずです。しかし、これは、アメリカにおける完全な合法化を認める前に正式に大麻を薬剤化する側面で国内の議論が悠々と行き詰まっている可能性が高いことも意味しています。医療大麻に健康保険が適用されるかに関する議論もまた、特にアメリカにおいて大きく対立しています。

政策決定だけでなく、他の影響を受ける連邦機関はもちろん、法務省における現行の政策の日常的な実施に関して、ワシントンD.C.で何が起こるかはっきりするまでに全体の議論を先送りにする可能性もあります。そこには保険福祉省や退役軍人省も含まれます。

広がる緑の同盟

以前からそうであったように、大麻政策は世界を興味深い新たな地図に分け続けています。そこには、そのシグナルが計画的なものか単なる偶然なのかにかかわらず、国際科学、ビジネスおよび政治主導において奇妙に切分されたように見え始めている、政治的に興味を引く発展も含まれます。特にイスラエルとドイツはこの件に関して審議および政治的に似た傾向で歩んでおり、どちらも少なくとも2014年以来アメリカにおける重要な大麻州の発展に結び付いています。

コロラド州が2014年1月に嗜好用大麻の販売を開始したのと同じ月にドイツ政府が大麻使用に関する開票を発表したり、続く2月にイスラエルがてんかん患者の子供に対してアクセスを拡大する(15組の家族がコロラド州に“移住する”と脅したことによって国内的にも促進されていましたが)決断をしたりしたこともそうです。

この傾向は奇妙な形で続くように見えます。トランプ大統領の就任前日、ドイツの政治家は満場一致で医療大麻の合法化を決定し、イスラエルも1週間以内に同様の法的決断でその後に続きました。またこのような動きは、アメリカにおける大麻に関する11月の州投票の成功、2016年12月に国内で医療大麻を栽培するとしたオーストラリア政府の発表、そして同月、2017年末までに嗜好用使用改正法案を可決するとしたカナダ政府の合図にも行き当たります。

これらの国から成る同盟が合法化問題を見守り続けることができれば、政策が大麻からはるか離れたものでないなら、国際ビジネスにおいて安定性を提供できるかもしれません。国境でなくとも、不確実性と新機軸が標準となるこの世界で、おそらくそれこそが実際、重点を置くとまではいかなくても信じることのできる“代替的な真実”なのです。

出典:Culture